契約書や申請書をオンラインでやり取りする機会が増え、電子サインや電子署名を検討している人も多いのではないでしょうか。
Adobe Acrobat Signは、PDFの作成・編集とあわせて電子サインを扱えるサービスです。契約書、発注書、注文書、申請書などをPDF化し、そのまま署名依頼までおこなえます。
現在はAcrobatの電子サイン機能として利用するケースが中心で、より高度な法人向け製品としてAcrobat Sign Solutionsも用意されています。
- Adobe Acrobat Signとは?
- 電子署名とは?電子サインとの違いは?
- 導入すると何が便利?
- 価格や使用料金は?
- Acrobat StandardとProの違いは?
- 電子サインの法的有効性は?
- 契約書や申請書にも使える?
本記事では以上の疑問についてわかりやすく解説します。
「とりあえず電子サインを試したい」ならAcrobat Pro、「自分で使う基本機能だけで十分」ならAcrobat Standardでも十分です。
Adobe Acrobat Signとは? 電子サインのメリットと特徴

Adobe Acrobat Signは、アドビが提供する電子サイン機能・電子契約向けサービスです。
書類データの基本であるPDFとの連携に優れているのが特徴で、PDFを編集してそのまま署名依頼まで行うことができます。Adobe Signという単体の電子契約ツールというより、いまはAcrobatの中で電子サイン機能を使うイメージを持つとわかりやすいです。
Acrobatについては以下の記事で詳しく解説しています。

Acrobatの電子サイン機能として使える
現在のAcrobat Standard/Proには、フォーム入力や署名、電子サイン依頼の機能が含まれています。より大規模な運用向けには、Acrobat Sign Solutionsという上位の法人向け製品もあります。
- 「PDFを編集しながら電子サインも使いたい」ならAcrobat
- 「社内システム連携や高度な認証まで必要」ならAcrobat Sign Solutions
大規模な法人向けは例外として、基本的にはAcrobatを利用した電子サインを使います。
電子署名とは?電子サイン・デジタル署名との違い
電子署名とは、紙の署名や押印の代わりに、電子データ上で本人の意思表示を記録する仕組みです。
「電子サイン」「電子署名」「デジタル署名」という言葉が近い意味で使われることがありますが、Acrobat Signでは大きく分けて電子サインとデジタル署名を扱えます。
- 電子サイン:メールアドレス、認証、監査証跡などを使って、誰がいつ承認したかを記録する方式です。一般的な契約書、申請書、同意書、発注書などで使いやすい方法です。
- デジタル署名:認証局が発行するデジタルIDを使って署名する方式です。本人確認や改ざん検知をより強く求める文書に向いています。
電子サインはコスト削減効果あり
ペーパーレスにし、電子サインにすることで以下のコストを削減しやすくなります。

- 印刷代
- 郵送代
- 保管コスト
- 作業工数
- 印紙代
特に契約書を紙で郵送していた業務では、発送、返送待ち、押印、スキャンの往復がなくなるだけでも効率が上がります。
また、国税庁は電磁的記録は印紙税の課税対象となる文書に含まれないと説明しています。紙の契約書では印紙税が必要になる場合でも、電子契約として取り交わす場合は印紙税の負担を減らせる可能性があります。
サインをもらうまでの期間を短縮できる
紙の書類を利用する際にかかる「時間」も短縮することが可能です。
印刷や製本にかかる時間、郵送にかかる時間、それに対応するまでの時間を減らせるので、契約完了までの期間を短縮しやすくなります。Acrobatの電子サイン機能は送信後の進捗確認や監査証跡の確認にも対応しているため、承認までの流れを可視化しやすいのもメリットです。
署名する側の手間が少ない
署名を依頼された側は、Acrobatの契約をしていなくてもブラウザ上で署名できます。
わざわざ印鑑を押すために出社する必要もなく、書類の承認などの手間も大きく省くことができます。URLを開いて署名するだけなので、取引先や顧客をわずらわせにくいのも大きな魅力です。
承認作業はURLを開くだけのとても簡単な作業なのでデジタルが苦手な上司や顧客でも安心。
契約書や申請書など、電子サインに向いている書類
電子サインは、契約書だけでなく、社内外のさまざまな書類に使えます。
たとえば、次のような書類はテンプレート化してPDFにしておくと、Acrobat Signで署名依頼に回しやすくなります。
- 業務委託契約書
- 発注書
- 注文書
- 覚書
- 借用書
- NDA
- 申請書
- 同意書
- 承諾書
毎回ゼロから作るのではなく、業務委託契約書テンプレート、発注書テンプレート、注文書テンプレートなどを用意しておくと、必要項目を入力して署名依頼まで進めやすくなります。
契約書や申請書をPDF化して、署名欄を追加し、そのままオンラインで送れるのがAcrobat Signの便利な点です。
一括送信やwebフォーム化にも対応
電子サイン機能をしっかり使いたいなら、Adobe Acrobat Pro以上のプランが便利です。Acrobat Standardでも署名依頼はできますが、署名依頼は毎月2件の文書までです。
Adobe Acrobat Proでは、複数の署名者に署名依頼を一括送信したり、webフォームや再利用可能な電子サインテンプレートを作成したりできます。
また、契約書にロゴやカスタムURLを追加してブランディングする機能もあるため、申し込みフォームや承諾フローをオンライン化したい場合はPro以上が向いています。
外部サービスとの連携
Acrobatは、Microsoft Word、Teams、Salesforce、Workdayなどのビジネスアプリと連携できます。
日常的に使っているアプリからPDFの送信や署名依頼ができるため、契約書や申請書のワークフローを既存の業務環境に組み込みやすくなります。
個人で完結する使い方なら個人版でも十分ですが、チームで配布、回収、運用管理まで行うなら、グループ版の方が扱いやすくなります。
Adobe Acrobat Signの価格とプラン比較

電子サインを使う場合のAcrobatの料金をまとめます。
忙しい人向けのプランの選び方
- たまに署名依頼をしたい、PDF編集も基本で十分 → Acrobat Standard
- 署名依頼を継続的に使いたい、一括送信やwebフォームまで使いたい → Acrobat Pro
- 2人以上のチームでライセンス管理までまとめたい → Acrobatグループ版
- API連携、高度な認証、全社ワークフローまで必要 → Acrobat Sign Solutions
- AIアシスタントやPDFスペースも使いたい → Acrobat Pro + AIアシスタント または Acrobat Studio
※ Creative Cloud Proなど全部入りのコンプリートプランにもAcrobat Proが含まれています。
個人向けプラン
| プラン | 年間プラン月々払い | 年間プラン一括払い | 月々プラン |
|---|---|---|---|
| Acrobat Standard | 1,980円/月 | 23,760円/年 | 3,300円/月 |
| Acrobat Pro | 2,530円/月 | 30,360円/年 | 3,850円/月 |
| Acrobat Pro + AIアシスタント | 3,210円/月 | 38,440円/年 | 4,830円/月 |
| Acrobat Studio | 3,300円/月 | 39,600円/年 | 4,620円/月 |
AcrobatにはStandardとProの2種類が用意されています。
AIアシスタントの詳細は以下の記事をご覧ください。

法人向けプラン
| プラン | 年間プラン月々払い | 年間プラン一括払い | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Acrobat Standardグループ版 | 2,200円/月 | 26,400円/年 | 基本的なPDF編集・変換・電子サイン向け |
| Acrobat Proグループ版 | 3,080円/月 | 36,960円/年 | 高度なPDF機能と電子サイン機能向け |
| Acrobat Sign Solutions | 個別見積もり | 個別見積もり | API連携、高度な認証、業界コンプライアンス向け |
一人で使うなら個人版でも問題ありませんが、組織で複数ユーザーを管理したい場合はグループ版が向いています。公式サイトでは、グループ版は10ライセンス以下の組織向け、より複雑な要件がある場合は11ライセンス以上のエンタープライズ向けソリューションが案内されています。
Creative CloudプランにもAcrobatが付属
すでにCreative Cloudプラン(Standard / Pro)を契約している場合は、Acrobat Proが含まれています。
Creative CloudプランはPhotoshopやPremiereProなどAdobe CC全ソフトが利用可能な全部入りプランです。Standardはデスクトップ版のソフトのみで、Proは生成AI使い放題にモバイル版も利用可能な上位プランになっています。
電子サイン目的でAcrobatを選ぶなら、まずはAcrobat Standard、Acrobat Pro、Acrobatグループ版を基準に比較したほうが良いでしょう。

Acrobat Standard、Pro、グループ版、Solutionsの違い

Adobe Signを使いたい場合、どのプランを選ぶのが最適なのか詳しく解説します。
Acrobat StandardとAcrobat Proの違い
Acrobat Standardにも、フォームへの入力、文書への署名、電子サインの依頼機能は含まれています。
ただし、Standardの署名依頼は毎月2件の文書までです。
Acrobat Proは、Standardの機能に加えて、スキャン文書の編集・検索、PDF比較、墨消しなどの高度なPDF機能を使えます。さらに、複数の署名者への一括送信、webフォーム、再利用可能な電子サインテンプレート、契約書のブランディングなど、電子サイン運用を本格化するための機能が加わります。
どちらを選ぶべき?
Acrobat Standardが向いている人
- PDFの編集や変換を中心に使いたい
- 電子サイン依頼はたまにしかしない
- まずはコストを抑えて導入したい
Acrobat Proが向いている人
- 契約書や申請書を継続的に送る
- 複数の相手から署名を集めたい
- webフォームやテンプレート化で運用を効率化したい
- PDFの比較や墨消しなど高度な機能も使いたい
迷ったら、電子サインを「補助的に使う」ならStandard
「業務フローの中心に置く」ならProと考えるとわかりやすいです。まずはStandardで契約してみて足りなければアップグレードするのも手です。
個人版とグループ版の違い
機能面の土台は近いですが、グループ版には組織向けの管理機能があります。
チームで使う場合は、ライセンスや請求を管理コンソールでまとめて管理できるため、個別にアカウントをバラバラに契約するより運用しやすくなります。少人数の企業や部署単位で導入するなら、まずはAcrobatグループ版を試してみるのが良いと思います。
Acrobat Sign Solutionsが向いているケース
Acrobat Sign Solutionsは、中規模・大規模法人向けの電子サインソリューションです。
単にPDFへサインを依頼するだけでなく、既存システムとの連携、全社ワークフロー、署名者認証、業界コンプライアンスまで含めて運用したい場合に向いています。
たとえば、Salesforce、Microsoft、Workdayなどの業務システムと連携して、契約書や申請書の承認フローを全社的に管理したい企業で検討されるプランです。
電子署名・電子サインの法的有効性
電子サインや電子署名は法的に有効なのか、気になる人も多いと思います。
Adobe公式FAQでは、Adobeが提供する電子サイン(立会人型)はほとんどの国や地域で法的拘束力を持ち、日本国内でも法的有効性が認められていると案内されています。
また、Acrobat Signは電子サイン(立会人型)とデジタル署名(当事者型)の両方に対応しており、電子署名法第2条・第3条を適用する業務にも対応できるとされています。
電子サインとデジタル署名の違い
Acrobat Signでは、電子サインとデジタル署名が区別されています。
電子サインは、メールアドレスやパスワード、企業ID、2要素認証、監査証跡などを組み合わせて、本人性と非改ざん性を証明する方式です。一般的な契約や申請、承認フローではまずこちらを使うケースが多いです。
一方のデジタル署名は、認証局が発行するデジタルIDを使って署名する方式です。本人確認や改ざん検知をより強固にしたい場合に向いており、イメージとしては「電子サインが普段の印鑑やサイン」「デジタル署名が実印+印鑑証明」に近いと考えるとわかりやすいです。
署名画像だけではなく、証跡が重要
電子契約では、手書きサイン画像や印影画像そのものよりも、誰が、いつ、どの手順で承認したかという証跡が重要です。Acrobat Signでは、署名依頼の送信、署名状況の確認、監査証跡の確認ができるため、紙の契約書よりも承認状況を追いやすくなります。
Adobeの公式見解でも、署名の形そのものより、メールアドレス、2要素認証、ドキュメントのロック、監査証跡などによって本人性が確認できることが重要だと案内されています。
見た目のハンコ画像だけで判断せず、監査証跡まで残せる仕組みかどうかを重視しましょう。
Acrobat Signを使ってみよう
Adobe Acrobat Signは、PDFの編集と電子サインをまとめて進められるのが大きな強みです。
無料でAdobe Acrobat Signをはじめてみる
電子サインに関しては、実際に試してみて使用感を見るのがいちばんです。
自分でPDFに署名を追加するだけなら、Acrobatオンラインツールを使って無料で試すことができます。まずは「PDFに署名できればいい」という人は、ここから触ってみるのがおすすめです。
より本格的に試したい場合は、Acrobat Proの7日間無料体験があります。PDF編集、変換、保護に加えて電子サイン機能も確認できるので、「実務で回せるか」を見るにはこちらの方が向いています。

コメント