電子帳簿保存法が改正され、2022年1月から電子化が求められるようになり、2023年12月までの猶予期間が設定されました。
データ保存要件も厳格化され、電子取引データの書面保存が不可になり2ヶ月以内のタイムスタンプ付与などの要件が定められています。
自社のデジタル化を推進や取引先から電子サインを求められることが増え、Adobe Acrobat Signなどの電子サインを検討している法人も多いんじゃないでしょうか?
- Adobe Acrobat Signってなに?
- Adobe Acrobat Sign導入のメリットは?
- Adobe Acrobat Signの価格や使用料金は?
- Adobe Acrobat Signのプランによる違いは?
- 電子サインの法的有効性は?
本記事では以上の疑問についてわかりやすく解説します。
Adobe Acrobat Signとは? 電子サインのメリットと特徴
Adobe Acrobat Signとはアドビ社の提供する電子サインサービスのことです。
書類データの基本であるPDFの生みの親ということでPDFとの連携に優れているのが特徴。
世界中で使用されている信頼性の高い電子サインサービスで、契約や書類の確認の証明として使用されます。
Acrobat SignはAdobeのPDFソフト「Acrobatに統合」
以前は「Adobe Sign」という名称で電子サインに特化した専用サービスとして提供されていましたが、現在はAcrobat SignとしてPDFソフトでもあるAcrobatに統合されています。
現在、普通にAcrobatを利用しているユーザーは追加料金を支払うこと無く電子署名機能を使用することが可能です。
電子署名を使用したい場合はAdobe AcrobatがあればOK
Acrobatの料金
現在はAcrobatに電子署名機能が統合されているので、Adobe Signを使用したい場合はAcrobatoの契約が必要になります。
Acrobatは以下の2つのプランが用意されています。
プラン比較 | Acrobat Standard | Acrobat Pro |
---|---|---|
年間プラン | 1,518円/月 | 1,980円/月 |
月々プラン | 2,728円/月 | 3,380円/月 |
プランによる違いは後述しますが、一番安いAcrobat Standardでも必要最低限の電子署名機能は網羅しています。
電子サインはコスト削減効果あり
ペーパーレスにし、電子サインにすること以下のコストを削減することができます。
- 印刷代
- 郵送代
- 印紙税
- 人件費
- 場所代
リモートワークに対応している会社はハンコや直筆のサインが不要になる電子サインがおすすめ。
わざわざ印鑑を押すために出社する必要もなく、書類の承認などの手間も大きく省くことができます。
サインをもらうまでの期間を大幅に短縮できる
紙の書類を利用する際にかかる「時間」も短縮することが可能。
印刷や製本にかかる時間、郵送にかかる時間、それに対応するまでの時間…すべてを短縮することができるので契約完了までの期間を数日レベルで短縮することができます。
紙を使わずに契約をスムーズに結ぶことで業務効率の向上も期待できます。
電子印鑑スタンプやタイムスタンプにも対応
Acrobat SignはPDFファイルに手書きのサインや印鑑スタンプを押すことができます。
手書きのデジタルサインも毎回書く必要はなく、印鑑設定しておけば同じサインを繰り返し利用することができます。
また、これらのサインやスタンプにはタイムスタンプだけでなくいつ誰が押したのかわかる履歴情報が記録されるので、通常の認印以上に信頼性が高いのが特徴です。
あらゆるデバイスに対応
Acrobat Signでの署名はあらゆるデバイスに対応しています。
署名を依頼された側はアプリのインストールも不要です。
URLをクリックして署名するだけなので上司や顧客をわずらわせることがありません。
出先でPCがなくてもスマホだけで承認作業を行うこともできるので業務の進行もスムーズ
一斉送信や署名フォーム化により大量署名の効率化
Adobeの電子サインは一斉送信機能が搭載されているので同時に複数人に署名依頼を送ることができます。
また、Adobe Signでは共通のURLを発行して不特定多数がフォームから署名してもらったりWebサイトに埋め込んで署名欄を作るといったことまで可能になっています。
さまざまなシチュエーションに対応可能です。
電子データ管理が容易になる
電子サインを導入することで書類の整理がとても容易になります。
パソコンで作成した書類を印刷してハンコ押して、再びスキャンして紙もデータも保存…というわずらわしい作業をなくすことができます。
- 契約書
- 発注書
- 請求書
- 誓約書
- 承諾書
などなど、あらゆる書類、あらゆる職種で利用が可能です。
外部サービスとの連携
Acrobat Signは外部サービスとの連携も可能です。
Microsoft 365とシームレスな連携が可能で、Officeソフトから離れること無く署名の処理が完結します。
Acrobatを立ち上げること無く、Microsoft Officeのソフト内で署名ができるようになり署名がスムーズに行なえます。
Adobe Acrobat Signの価格とプラン比較
ちょっと複雑なAcrobat Signおよび電子サイン機能のついたAcrobat Proの料金プランについて解説します。
基本的な電子署名機能はすべてのAcrobatプランに付属していますが、料金プランはいくつも容易されているので詳しく解説します。
電子サインが使えるAcrobat Signの料金一覧
電子サインが使えるAcrobatのプランは法人向けを合わせると以下の5つ
電子サイン対応プラン | 料金 (年間プラン) |
---|---|
Acrobat Standard | 1,518円/月 |
Acrobat Pro | 1,980円/月 |
Acrobat Standard グループ版 | 1,848円/月 |
Acrobat Pro グループ版 | 2,380円/月 |
Acrobat Sign Solutions | 見積もり |
上記はすべて年間プランで1ライセンスあたりの価格になっています。
通常版とグループ版に機能的な差はありませんが、一つの組織で複数のアカウントを使用する場合はグループ版を選択します。
規模の大きな企業向けにAcrobat Sign Solutionsという上位プランが用意されています。価格は高くなりますが高いコンプライアンスレベルでの提供となっています。
Acrobat Proはコンプリートプランにも付属
Acrobat ProはAdobe CC コンプリートプランにも付属しているので、Adobe CCコンプリートプランを契約している人は追加料金なく使用することができます。
コンプリートプランはすべてのAdobe CCが使用可能になったセットプランとなっており、PhotoshopやIllustratorなども使うことができます。
コンプリートプランは安く買う方法があるので他のソフトの利用予定がある場合は以下の方法も参考にしてみてください。
Adobe Acrobat Sign、Standard、Pro、グループ版の違いを比較
Adobe Signのプランごとの機能の違いを解説します。
Acrobat StandardとAcrobat Proの違い
Acrobat StandardおよびAcrobat Proどちらにも署名を回数制限なく行える電子サイン機能が搭載されています。
StandardとProの違いは、大きく分けて以下の3つ
- 高度な電子署名機能の有無
- 高度なPDFの編集機能の有無
- macOSの対応有無
Acrobat Proは複数の時受信者に署名用文章を一括送信したり、機密情報を隅消ししたり、Webサイトで署名収集したりと高度な署名機能を使用することができます。
使用環境についてですが、Acrobat ProはMacとWindowsどちらでも使用が可能ですが、StandardはMacでは使用できません。
また、ProにはPDFの編集機能も優れており、2つのPDFを比較して差分を表示するなど便利な機能もついています。
PDF編集機能の詳細については以下の記事をご覧ください。
Adobe Standard、Pro、Solutionsの電子サイン機能比較表
Adobe Signを使用可能なAcrobatのプランStandard、Pro、Solutionsの違い、およびAcrobat Proの違いは以下の表とおりです。
比較項目 | Acrobat Standard | Acrobat Pro | Acrobat Sign Solutions |
---|---|---|---|
月額料金 | 1,518円/月 | 1,980円/月 | 見積もり |
対応OS | Windowsのみ | Windows & Mac | Windows & Mac |
電子サイン | ◯ | ◯ | ◯ |
記録と監査証跡の保持 | ◯ | ◯ | ◯ |
署名関連法に対応 | × | ◯ | ◯ |
ロゴの追加 | × | ◯ | ◯ |
一括送信 | × | ◯ | ◯ |
Webフォーム | × | ◯ | ◯ |
システム連携 | × | × | ◯ |
システム用API | × | × | ◯ |
どのプランを選んでも電子サインは可能です。
機能的にはAcrobat Proが一番バランスが良く、おすすめのプランです。
Acrobat Sign Solutionsはある程度規模の大きな企業向けで、以下のような高度な機能を使用することができます。
- システムAPIの利用
- Webフォームの設置
- フレームワークへの組み込み
Acrobat個人版とグループ版の違い
Adobe Acrobatのグループ版、企業など、2人以上のユーザーで使用するプランです。
機能的には個人版と変わりませんが、ひとつの組織で複数の個人用アカウントの使用は許可されていないため企業で2人以上で使用する場合はグループ版を選びましょう。
ひとりしか使用しない場合は企業利用であったとしても個人版を選べばOKです。
Acrobat Pro単体でできる電子サイン関連機能
Acrobat Pro単体で以下のような電子署名機能を使用することができます。
個人事業主や小規模事業者で社長のみが利用する場合などはAcrobat Proひとつでも十分と思われます。
- 署名等のフォームフィールドを自動的に追加してフォームを準備
- スマートフォンへのテキストメッセージで手書きの署名を追加
- 署名する前にパスワードを要求
- モバイルアプリで本人から直接署名を取得
- 署名済み文書と監査証跡を保存し共有
- 署名用文書を、Microsoft Word、Outlook、PowerPointから直接送信
- 受信者はダウンロードやログインせずに、文書を開いて署名可能
- 対応状況のトラックと管理
- モバイルでスキャンと署名
- 受領印その他の個人別認印を追加
- 製品内チャットサポート
- 34言語から選択
電子サインとデジタル署名の法的有効性について
電子サインって法的に有効なの?
Adobe Signのようにセキュリティ基準を満たしているものは有効です!
Adobe Acrobat Signは法的にも有効な電子サイン
電子サインはPDFに電子印鑑が押されるだけでなく、データそのものにアカウント情報が紐づくことで本人証明になります。
また、データの記録が残るため非改ざん性が認められ証拠として残すことができるため法的な基準をクリアしています。
- 本人のサインであることの証明
- 改ざん防止対策がされていること
さらにAdobe Signはクラウド上でファイルのトラッキングを行うため、強固な本人証明や非改ざん性を証拠として残すことができます。
- 二段階認証可能
- ワンタイムパスワードの入力
- 送付先メールアドレスとサインのログ
さらに信頼性の高い電子署名にも対応
一般的に印鑑を使うようなものはAdobe Acrobat Signの電子サインでも問題ありませんが、より強固な証拠が求められる契約書においては電子署名を利用することができます。
代表者の実印や印鑑証明が必要になる場面では、認証局によって発行される証明書を組み込んだ電子署名を利用することも可能です。
電子サインと電子署名の違い
電子サインと電子署名は同じものとして扱われることもありますが、Adobe Signにおいては明確に区別されています。
比較項目 | 署名の違い | 紙で例えると |
---|---|---|
電子サイン | 有効性のある電子サイン | 印鑑やサイン |
電子証明 | 認証機関に証明された電子サイン | 実印+印鑑証明 |
電子証明も電子サインの一種ですが、第三者機関による証明が付与された信頼性の高い署名になります。
通常の電子サインにも法的有効性が認められていますが、電子署名は印鑑証明書つきの書類のように強い信頼性を求める際に利用されます。
高額取引の契約書や重要度の高い契約に使われます。
電子証明が必要なイメージは実印と印鑑証明が必要になる契約です
無料でAdobe Acrobat Signをはじめてみる
電子サインに関しては実際に試してみて、使用感を見てみるのが一番。
Adobe CC全製品には無料体験が用意されているのでまずは実際に試してみましょう!
Acrobat Proは7日間の無料体験つき
電子サインを利用したい場合はAcrobat Proの無料体験をお試しください。
7日間はフルで全機能を使用することができるので実際にどのような感じで署名を行うのか、業務にあっているのか確認することができます。
問題なければ個人版の場合は1,980円/月〜でスタートしてみてください。
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