Adobeの生成AIはPhotoshopの生成塗りつぶしなど画像系の生成がメインでしたが、今回、新たに発表された「Adobe Firefly Video Model」では、ついに動画や音声の生成が可能になりました。
発表と同時にベータ版がリリースされましたので、Adobe Firefly web版を使えばすぐに動画生成AIを使用することができます。
本記事ではAdobe Fireflyの動画生成AI機能でできることや使い方を解説します。
動画生成AI Firefly Video Modelでできること

今回追加されたFirefly Video Modelでは単なる動画生成はもちろん、画像を元に動画を作成したり、動画の足りない部分を保管するBロール映像を作成したり多くのことが可能になっています。
テキストプロンプトを入力して動画を生成
テキストで「草原を走る白い馬」や「夕暮れのビーチを歩くシルエット」といったイメージを指示すると、その通りの動画をすぐに作れます。
カメラアングルや雰囲気を細かく変えることもできるので、よりイメージに近い映像を生成可能です。
画像を元に動画を作成(Image to Video)

手元の写真やFireflyで作った画像を取り込み、背景や被写体を動かす映像へ変換できます。
たとえば、旅先で撮った一枚の風景写真に空や雲の動きを加えたり、人物をゆっくり歩かせるようにアニメーションをつけたりして、より臨場感のある動画に仕上げられます。
ギャップを埋めるBロール映像を生成
動画編集中、シーンとシーンの間に差し込みたい背景映像やつなぎのカットが必要なときに、Firefly Video Modelでサッと生成。
街並みの俯瞰映像や夕暮れの空など、シームレスに流れるBロールを手軽に用意できます。
高度な動物表現や自然風景の生成
動物の仕草や自然のダイナミックな動きも、AIがリアルに再現してくれます。
たとえば、森の中で小鳥が枝から飛び立つシーンや、海辺で波と戯れる犬の映像など、あらゆる環境や被写体を多彩なスタイルで描き出せます。
映像編集に使えるクロマキー素材を生成(グリーンスクリーン)
プロンプトや画像指定でグリーンスクリーンの指示を行うとクロマキー素材を生成することもできます。
自分で作成することが難しいような素材を作ることができるので今まで実現できなかったアイデアを簡単に形にすることができます。
シーン全体の3Dアニメ・2Dアニメ表現
キャラクターを3Dで動かしたり、絵本風の2Dアニメにしたりすることもできちゃいます。
背景のデザインやアニメならではの表現方法を自由に組み合わせながら、作りたいテイストに合った映像作品を手軽に作り出すことができます。
Adobe FIreflyの動画生成AIの使い方
動画生成を行う具体的な手順を解説します。
テキストから動画を生成する方法

Adobe Fireflyのトップページの生成ウィンドウから直接動画を生成することが可能です。
- Adobe Fireflyのトップページにアクセス
動画
のタブを選ぶ- 生成ウィンドウに生成したい動画の内容を入力
生成
をクリック

生成ボタンを押すと動画を生成ページに移動し、そのまま生成が開始されます。
動画生成中はブラウザを閉じないようにしましょう(タブを閉じたりすると生成されません)
最初に入力したプロンプトは画面下部にあるプロンプト
で入力し直して再度生成を行うことで何度も生成を行うことができます。

画面左の一般設定では生成モデルや縦横比などの設定変更が可能です。(現在変更可能なのは縦横比のみ)
縦横比は横長のワイドスクリーンがデフォルト設定になっていますが、縦9:16も選ぶことができます。
SNS用などで縦長動画を生成したい場合はここで設定を変更しましょう。

カメラ設定ではカメラのアングルやカメラの動きを設定することができます。
プロンプトで指示することもできますが、カメラ設定から行ったほうがより精度の高い指示が可能なようです。
画像から動画を生成する方法

プロンプト入力画面左にあるフレーム
を選択し画像をPCから選択してください。
※ 本機能で指定できる画像は自身の著作物に限ります。
最初のフレームの画像を選択したら、その画像をどのような動画にしたいのかプロンプトを入力して生成
をクリックしましょう。
この際、フレームは最初の1枚だけでも制作できますが最後のフレームを指定することで繋がりのある動画を生成することもできます。
以上の手順でフレーム指定した画像を下に動画が生成されます。

生成した動画
「葉っぱが風に揺れる」などもう少し簡単な動きなら簡単に再現可能ですが、複雑な内容だとうまくいかないかもしれません。

「火を吐きながら正面を向く」としましたが火が出てくる方向が不自然でした。
現在は難しい画像や動きの内容によってはうまくいかないものも多そうですが、生成動画の精度はどんどん上がっていくはずなので期待しましょう。
動画生成AIは料金がかかる?
生成クレジットを使用しますが、無料アカウントでも25クレジットが付与されるのでお試し程度の使用は可能です。
すでにAdobeのサブスク契約をしている人は使用プランに応じて生成クレジットが付与されていますが現在のところ動画に関してはAdobe CC契約のみではクレジットが残っていても生成不可のようです。
Fireflyのクレジットが付与されるサブスクプランに加入することで使用が可能になります。
動画生成AIで消費される生成クレジット数
今までの画像生成は1クレジットの消費でしたが、今回新たに登場した動画生成や動画翻訳などはより多くの生成クレジットを使用します。
使用数は以下のとおりです。
AI機能 | 使用量 |
---|---|
音声を翻訳 | 5クレジット |
動画を翻訳 | 5クレジット |
翻訳とリップシンク | 10クレジット |
動画を生成 (540p) | 20クレジット |
動画を生成(1080p) | 100クレジット (ベータ時20クレジット) |
高解像度(1080p)の生成では100クレジットなので動画生成をたくさんしているとすぐにクレジットが終わってしまいそうです。
たくさん生成したい場合は新たに登場した「Firefly専用のサブスクプラン」に加入する必要があります。
Fireflyのサブスク料金とクレジット数
項目 | Firefly Standard | Firefly Pro |
---|---|---|
生成クレジット (毎月) | 2,000 | 7,000 |
画像生成・ベクター機能 | 無制限 | 無制限 |
月々プラン | 1,580円/月 | 4,780円/月 |
年間プラン | 15,780円/年 | 47,780円/年 |
クレジット数の多いFirefly Proプランにすれば70回生成が可能ということになります。
また、通常のAdobe CCプランだけでは動画生成が使用できないため動画生成をしたい場合はプラン加入が必須となっています。
料金やクレジットについての詳しい解説は以下のFireflyの価格解説記事をご覧ください。

FireflyとOpen AI「Sora」の比較
最後に、他の動画生成AIと比べてどうなの?っていうのを実際に生成した動画で比較してみます。
生成内容の比較
Adobe Fireflyで生成した動画
プロンプトは「草原でゆっくり走る馬の群れ」です。
次はOpen AIのSoraで生成してみます。こちらはもっと長尺の生成も可能ですが、長さを同じ5秒にあわせています。
Open AI Soraで生成した動画
プロンプトは先程のAdobe Fireflyのときと同じです。
単純比較した感じではSoraのほうがクオリティが高いかなという印象を受けました。生成クレジットがあまり使えない関係でたくさんは試せていませんが、後日もっと詳しく比較してみたいと思います。
Soraとの料金や生成スペックの比較
料金や生成サイズの比較は以下のとおりです。
特徴項目 | Sora(ChatGPT付き) | Adobe Firefly |
---|---|---|
月額料金 | ・Plus: $20(約¥3,000) ・Pro: $200(約¥30,000) | ・Standard: ¥1,580 ・Pro: ¥4,780 |
解像度 | Plus: 最大720p Pro: 最大1080p | 20クレジット:540p 100クレジット:1080p |
動画長さ | Plus: 最大5秒 Pro: 最大20秒 | 最大5秒 |
生成回数 | Plus: 50本 Pro: 500本 | Standard: 20本 Pro: 70本 |
編集機能 | Remix、Re-cut、Storyboard、Loop、Blendなど、多彩な編集機能を搭載 | 画像生成・ベクター作成、生成塗りつぶし、生成再配色、テキスト効果など幅広い生成機能あり |
利用環境 | ChatGPT利用者向けの動画生成アドオン。クリエイティブ実験や商用利用も可能 | 画像・動画・音声生成などAdobe製品との連携に強み。商用利用も可能 |
注意点 | Plusプランだとウォーターマークを消せない | Adobe CCのサブスクプランだけでは動画生成できない |
SoraはChatGPTのプランに含まれているのでChatGPTに課金している人なら割安です。一方AdobeはAdobeコンプリートプランに加入していても動画生成には別途プラン加入が必要なので割高です。
動画生成のクオリティに関しては現在のところはSoraのほうが良い感じ、かつSoraはブラウザで編集もできるので現段階では利便性的にも優れますがPremiere ProやAfter Effectsに統合されればAdobeのほうが便利そうです。
他サービスとの優位性的にもAdobe CC加入者も所持クレジットで動画生成を使用できるようにして欲しいですね。
コメント
コメント一覧 (1件)
コンプリート加入なのに2回で有料プランのポップアップ出たからバグかと思ったら仕様だったんですね。
コンプリートプランのクレジットいつも900くらい余るから使いたかったなあ