InDesignは、冊子やパンフレット、会社案内、雑誌のような複数ページのレイアウトデザインに適したソフトです。
Illustratorのように自由にデザインすることもできますが、InDesignは文字を読みやすく整えること、ページを順番に管理すること、印刷用データを作ることが得意です。
この記事では、InDesignの基本操作をわかりやすく解説します。
はじめて使う人でもわかるように、画面の見方、ページ設定、文字と画像の扱い、ページ管理、PDF書き出しまで、InDesignを使う上で必要となる内容をまとめて説明します。
InDesignの基本|最初に知っておきたい考え方
InDesignを理解する最初のポイントは、ページの上に枠を置き、その中へ文字や画像を入れて紙面を作るという考え方です。
この考え方がわかると、文字の入力、画像の配置、ページ番号の管理まで、別々の機能がつながって理解しやすくなります。
ドキュメント・ページ・見開き・スプレッドの違い
ドキュメントは、InDesignで編集する文書全体のことです。その中に複数のページが入っています。
たとえば8ページのパンフレットなら、1つのドキュメントの中で8ページを管理します。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ドキュメント | 編集中の文書全体です |
| ページ | 紙面の1ページ分です |
| 見開き | 本を開いたように左右のページが並んだ状態です |
| スプレッド | 一緒に表示・配置するページのまとまりです |

「ページを追加する」は文書の枚数を増やす操作です。「見開きにする」は、ページの並び方に関する設定です。
フレームは文字や画像を入れる枠
フレームは、文字や画像を配置するための枠です。
文字を入れる枠をテキストフレーム、画像を入れる枠をグラフィックフレームと呼びます。

見出し、本文、写真を別々のフレームに分けておくと、それぞれ独立して位置や大きさを調整できます。
なお、フレームや図形など、ページ上に置いた部品をまとめてオブジェクトと呼びます。
「枠」と「中身」は別々に編集する
InDesignでは、フレームの大きさを変える操作と、中に入っている文字や画像を変える操作を区別します。
たとえば画像のフレームだけを小さくすると、写真自体を縮小するのではなく、見える範囲を狭くする動きになります。
文字も同じで、テキストフレームの幅を広げると1行に入る文字数が増えますが、文字サイズそのものが勝手に変わるわけではありません。
何を変えたいのかを先に考え、枠を選ぶのか、中身を選ぶのかを判断することが基本です。
InDesignの画面とワークスペースの見方
次に、画面のどこで何をするのかを確認します。最初に画面の役割がわかると、後の操作が理解しやすくなります。
ツール・パネル・ワークスペースとは
ツールは操作するための道具、パネルは設定や情報を表示する小さな画面です。これらの配置をまとめた作業環境をワークスペースと呼びます。

| 画面の要素 | 役割 |
|---|---|
| ツールパネル | 選択や文字入力など、使う道具を切り替えます |
| ページ | 実際の紙面を編集する場所です |
| ペーストボード | ページの周囲にある作業領域です |
| プロパティパネル | 選択したものに応じた設定を表示します |
| ページパネル | ページの追加、移動、親ページの管理に使います |
画面が記事と違って見える場合でも、まず左側で道具を選び、中央で紙面を編集し、右側で設定を見ると考えると理解しやすくなります。
パネルが見当たらないときは、[ウィンドウ]メニューから表示できます。最初は[プロパティ]と[ページ]の場所がわかれば十分です。
プロパティパネルは、選択対象や編集中の内容に合わせて表示が変わります。未選択・フレーム選択・文字編集中の違いは次のとおりです。

必要な設定が見つからないときは、まず何を選択・編集しているかを確認しましょう。
最初に覚えたいツール
| ツール | できること | キー |
|---|---|---|
| 選択ツール | フレームや図形を選び、移動やサイズ変更をします | V |
| ダイレクト選択ツール | フレームの中の画像や、図形の形を調整します | A |
| 文字ツール | 文字を入力、編集します | T |
| 長方形フレームツール | 画像を入れる枠を作成します | F |
| 長方形ツール | 背景や囲みなどの図形を作成します | M |
| 手のひらツール | 画面の表示位置を移動します | H |
| ズームツール | 表示を拡大、縮小します | Z |
文字入力中にVやTを押すと文字が入力されてしまいます。文字編集を終えたら、Escキーで入力状態を抜けると切り替えやすくなります。
拡大・縮小とプレビュー表示
画面の表示倍率を変えても、ページや文字の実際のサイズは変わりません。細部を確認したいときはズーム、全体のバランスを見たいときは縮小表示を使います。


| ズームイン | Ctrl+= |
| ズームアウト | Ctrl+- |
| ページ全体表示 | Ctrl+0 |
| スプレッド全体表示 | Ctrl+Shift+0 |
| 100%表示 | Ctrl+1 |
MacはCtrlをCommandに読み替えてください。
仕上がりイメージを確認するときは、Wキーで標準表示とプレビュー表示を切り替えます。

編集用のフレーム枠やガイドはプレビューで非表示になります。印刷される線を付けたい場合は、後述する「線」の設定を使います。
ワークスペースの切り替えとカスタマイズ

InDesignでは多くのパネルを使えますが、最初からたくさん表示すると逆にわかりにくくなります。よく使うものだけを表示しておくと整理しやすくなります。
パネル配置を保存したいときは、ワークスペースを新規作成しておくと、後から同じ並びを呼び出せます。
新規ドキュメントの作成とページ設定
新しい文書は、[ファイル]→[新規]→[ドキュメント]から作成します。

既存ファイルを開くときは[開く]を選びます。ゼロから作るときは[新規作成]です。

新規作成画面では、まず印刷やWebなどのカテゴリを選びます。
冊子などを作成する場合は「印刷」を選んだ後でサイズを選択してください。
ページサイズ・向き・ページ数を設定する
ページサイズには、仕上がりの1ページ分の大きさを指定します。A4冊子でも、見開き全体の横幅ではなく、1ページ分のA4を設定します。
| 設定 | 意味 |
|---|---|
| 幅・高さ | 1ページ分の仕上がりサイズです |
| 方向 | 縦長にするか横長にするかを決めます |
| ページ数 | 最初に作るページ数を決めます |
| 開始ページ番号 | 何番からページ番号を始めるかを決めます |

ページ数は後から増減できます。最初の段階で最終ページ数が完全に決まっていなくても問題ありません。
なお、ページの向きと、文字の縦書き・横書きは別の設定です。縦長ページでも横書きの冊子は作れます。
左綴じ・右綴じと、右開き・左開きの関係

綴じ方は、冊子のどちら側を綴じるかを決める設定です。
表紙を正面から見たときに、左側を綴じるなら左綴じ、右側を綴じるなら右綴じです。
開き方で言い換えると、左綴じは右開き、右綴じは左開きになります。ここは混同しやすいため、図で確認しておくとわかりやすくなります。
横書きの冊子では左綴じが多く、縦書きの書籍では右綴じが多いですが、最終的には制作物の仕様に合わせて設定します。
見開きページとは
見開きページは、本のように左右のページをセットで見ながら編集するための設定です。

- 冊子や雑誌など、左右のページを組み合わせて編集する場合はオン
- チラシやポスターなど、1ページずつ独立して編集する場合はオフ
見開きをオンにしても、通常は最初の1ページ目だけ単独で表示されます。表紙にあたる位置なので、設定ミスではありません。
プライマリテキストフレームとは
プライマリテキストフレームは、親ページと連動する本文用のテキストフレームを扱いやすくする機能です。
長文の冊子や書籍のように、本文を複数ページへ流し込むときに役立ちます。ただし、初心者が最初に使いこなす必須機能ではありません。
「自動で文章を作る機能」ではなく、本文を流し込むための枠を管理しやすくする機能と理解しておけば十分です。
最初の練習ではオフでも問題ありません。まずは通常のテキストフレームで操作に慣れる方がわかりやすいです。
マージン・段組・裁ち落としの違い

このあたりは初心者が特に混同しやすい部分です。それぞれ役割が異なります。
| 用語 | 役割 |
|---|---|
| マージン | ページの内側に取る余白の目安です |
| 段組 | ページを何段のレイアウトで使うかの目安です |
| 段間 | 段と段の間のすき間です |
| 裁ち落とし | 仕上がり線の外側まで背景を延ばす印刷用の領域です |
マージンとは余白の目安

マージンは、本文や写真をどの範囲に揃えるかを考えるための余白です。
- 天:ページの上側
- 地:ページの下側
- 小口:見開きの外側
- のど:見開きの内側
マージンは配置の目安であり、はみ出したら見えなくなる線ではありません。ただし、読みやすく整った紙面にするためには、本文をマージン内に揃えるのが基本です。
段組はページの配置の目安
ページの段組ガイドは、配置の目安になる線です。

- 段組数:ページを何段の目安で使うか
- 組み方向:段が並ぶ方向
- 間隔:段と段の間のすき間
本文を実際に複数段に流すには、テキストフレーム側で段組を設定します。
裁ち落としは仕上がりの外側に延ばす領域

背景色や写真を紙の端まで印刷したい場合は、オブジェクトを裁ち落とし領域まで延ばす必要があります。
裁ち落としは、設定欄に数値を入れるだけで自動的に背景が伸びるわけではありません。自分で背景や画像を外側まで広げます。
レイアウトグリッドとは

レイアウトグリッドは、文字サイズ、1行の文字数、行数などを基準にして紙面を設計するためのマス目です。
原稿用紙に近い考え方なので、本文中心の冊子や書籍で役立ちます。自由に写真や図版を配置する紙面では、まずマージンを基準に考える方がわかりやすいことも多いです。
レイアウトグリッドは紙面全体の目安、フレームグリッドは文字を入れる枠です。グリッドを表示しただけでは文字は入りません。
作成後にページ設定を変更するとき
| 変更したい内容 | 操作場所 |
|---|---|
| ページサイズ・向き・裁ち落とし | [ファイル]→[ドキュメント設定] |
| マージン・ページの段組ガイド | [レイアウト]→[マージン・段組] |
| サイズ変更に合わせた再配置 | [ファイル]→[レイアウトを調整] |
ページサイズを変えた後は、文字があふれていないか、画像の位置がずれていないかも必ず確認します。
選択・移動・保存の基本操作
ページ設定がわかったら、次はオブジェクトをどう選び、どう動かすかを覚えます。
オブジェクトを移動・サイズ変更・複製する
選択ツールでオブジェクトをクリックすると、周囲に枠とハンドルが表示されます。ドラッグすれば移動でき、ハンドルをドラッグすればサイズを変更できます。
正確な寸法にしたい場合は、プロパティパネルの幅や高さへ数値を入力します。
同じものを複製するときは、WindowsはAlt、MacはOptionを押しながらドラッグします。
操作を間違えたら、WindowsはCtrl+Z、MacはCommand+Zで取り消せます。
作業中の保存方法
作業内容はこまめに保存します。InDesignの編集用ファイルはINDD形式です。
[ファイル]→[保存]で保存し、別名を付けて残したい場合は[別名で保存]を使います。
「完成してからまとめて保存する」のではなく、区切りのよいタイミングで保存する習慣を付けると安心です。
文字の入力・編集と段組の使い方
InDesignでは、文章そのもの、文字の見た目、文章を入れる枠を分けて考えると理解しやすくなります。
テキストフレームを作成して文字を入力する
文字ツールを選び、ページ上をドラッグするとテキストフレームを作れます。その中でカーソルが点滅したら、そのまま文字を入力します。

すでに入力した文字を編集するときは文字ツールを使い、フレームごと動かすときは選択ツールを使います。
Word原稿などを読み込む場合は、[ファイル]→[配置]を使います。
フォント・サイズ・行送りを調整する
文字ツールで対象の文字を選択し、プロパティパネルや[ウィンドウ]→[文字と表]→[文字]から設定します。
| 設定 | 意味 |
|---|---|
| フォント | 文字のデザインです |
| フォントサイズ | 文字の大きさです |
| 行送り | 行と行の間隔です |
| トラッキング | 文字列全体の文字間隔です |
| カーニング | 2文字の間隔です |

行送りは、見た目の空白だけでなく、1行と次の行の基準位置どうしの距離です。読みやすい本文にするための重要な設定です。
段落の揃え・アキ・インデントを設定する
段落は、Enterキーで区切られた文章のまとまりです。見た目が複数行でも、Enterで区切っていなければ1つの段落として扱われます。
| 設定 | 使いどころ |
|---|---|
| 左揃え・中央揃え・右揃え | フレーム内で文字をどこに揃えるかを決めます |
| 段落前のアキ・段落後のアキ | 見出しと本文の間隔を空けます |
| インデント | 段落の左右や1行目の位置を調整します |
見出しの下を空けたいときに空行を増やすのではなく、段落後のアキで管理すると、後から修正しやすくなります。
文字を中央に置きたいときはスペースを並べるのではなく、中央揃えを使います。
自動の折り返し・段落区切り・強制改行の違い
| 種類 | 起こること |
|---|---|
| 自動の折り返し | フレーム幅に応じて同じ段落の中で折り返します |
| Enter / Return | 新しい段落になります |
| Shift+Enter / Return | 同じ段落のまま改行します |
本文は基本的に自動で折り返させます。行末ごとにEnterを押してしまうと、文字サイズやフレーム幅を変えたときにも改行が残ってしまいます。
テキストフレーム内で本文を2段・3段に分ける
本文を実際に2段、3段へ流したいときは、テキストフレームを選択し、[オブジェクト]→[テキストフレーム設定]で段数と段間を指定します。

ここでの段組は、ページ設定時の段組ガイドとは別です。こちらは文字をどう流すかを決める設定です。
また、テキストフレーム設定では、枠の内側の余白も調整できます。ページの余白であるマージンとは役割が異なります。
文字のあふれとフレームの連結
フレームに文章が収まりきらず、表示されていない状態をオーバーセットテキストと呼びます。
テキストフレームの右下付近に赤い「+」が表示されたら、文字があふれている合図です。

続きの文章を別の枠へ流すときは、フレームを連結します。前の枠の出力ポートをクリックし、続き先のフレームを指定します。
フレームをまたいでつながった文章全体をストーリーと呼びます。
画像の配置・サイズ調整・回り込み
[配置]で画像を読み込む
画像は[ファイル]→[配置]から読み込みます。WindowsはCtrl+D、MacはCommand+Dです。
先にフレームを作っておき、その枠へ画像を配置することもできます。

JPEGやPNGだけでなく、PhotoshopのPSDファイルやIllustratorのAIファイルなども配置できます。
IllustratorとInDesignの違いもあわせて読むと、どの作業をどちらのソフトで行うか整理しやすくなります。
画像全体を見せるか、枠いっぱいに見せるかを選ぶ
画像とフレームの縦横比が違う場合は、見せ方を選ぶ必要があります。画像の入ったフレームを選び、プロパティパネルの[フレームサイズ調整]を使います。
| やりたいこと | 使う機能 |
|---|---|
| 画像全体を欠けずに見せたい | 内容を縦横比率に応じて合わせる |
| 枠いっぱいに画像を見せたい | フレームに均等に流し込む |
| 画像に合わせて枠を調整したい | フレームを内容に合わせる |

[内容をフレームに合わせる]は画像の縦横比が変わることがあります。人物や商品が不自然に変形しないよう注意しましょう。
トリミングと画像位置の調整
トリミングは、画像の一部だけを見せることです。フレームの大きさを変えて表示範囲を決め、中の画像を動かして見せたい位置を調整します。
紙面上で枠ごと移動したいのに画像の位置だけが動く場合は、中身を選択している可能性があります。枠と中身を区別する考え方がここでも重要です。
リンクパネルで元画像を管理する
通常の画像配置では、InDesignは外部にある元画像を参照しています。このつながりをリンクと呼びます。

| 状態 | 意味 | 対応 |
|---|---|---|
| 正常 | 元画像を参照できています | そのまま使えます |
| 変更済み | 配置後に元画像が編集されています | [リンクを更新]で反映します |
| 見つからない | 元画像の場所が変わっています | [再リンク]で元画像を指定します |
別の人へ編集データを渡すときは、後述するパッケージを使うと、リンク画像もまとめて渡しやすくなります。
画像の周囲に文字を回り込ませる
テキストの回り込みは、画像や図形を避けるように文章を流す機能です。

画像を選択し、[ウィンドウ]→[テキストの回り込み]から設定します。空白や手動改行で避けるより、後から移動しても整いやすくなります。
図形・色・整列・重なり順の使い方
塗りと線を設定する
図形の内側の色を塗り、輪郭の線を線と呼びます。

背景に色を付けたいときは図形の塗りを設定し、囲み線だけ付けたいときは塗りをなしにして線を設定します。
文字の色を変えるときは、文字ツールで文字を選択してから設定します。フレームの塗りと文字色を取り違えないようにしましょう。
繰り返し使う色は、[ウィンドウ]→[カラー]→[スウォッチ]で登録しておくと便利です。
オブジェクトを揃える
整列は、複数のオブジェクトの端や中心を揃える機能です。

| 揃えたいもの | 考え方 |
|---|---|
| 複数の写真の左端 | 選択したオブジェクトどうしで揃えます |
| 見出しフレームをページ中央に置く | [ページに揃える]を基準にして中央揃えします |
| 本文領域に合わせて置く | マージンを基準に考えます |
意図した位置に移動しないときは、整列の基準が「選択範囲」「ページ」「マージン」のどれになっているかを確認します。
重なり順とレイヤーを管理する
背景が文字を隠してしまったときは、[オブジェクト]→[重ね順]で背面へ移動します。
レイヤーは、オブジェクトを分類して管理する層です。背景だけをロックして、誤操作を防ぐといった使い方ができます。
段落スタイル・文字スタイルで書式を揃える
同じ見出しや本文が何度も出てくる場合は、毎回手作業で整えるより、スタイルを使うと効率的です。
段落スタイルと文字スタイルの違い
| スタイル | 対象 | 使用例 |
|---|---|---|
| 段落スタイル | 段落全体 | 本文、見出し、説明文など |
| 文字スタイル | 選択した文字だけ | 太字、色変更、強調など |

まず段落スタイルで本文や見出し全体のルールを揃え、その中の一部分だけを強調したいときに文字スタイルを使うのが基本です。
段落スタイルの基本的な作り方
- 見本にする段落のフォントやサイズ、行送りを整えます。
- その段落内にカーソルを置き、[ウィンドウ]→[スタイル]→[段落スタイル]を開きます。
- 新規段落スタイルを作成し、「本文」「見出し1」などの名前を付けます。
後から全体の見た目を変えたいときは、本文中の1か所だけを直すのではなく、スタイルの設定を変更します。
スタイル名の横に「+」が付くとき
スタイル適用後に個別で文字サイズや色を変えると、スタイルのルールから外れた書式が加わります。これをオーバーライドと呼びます。
全体のルールにしたい変更なのか、その箇所だけの例外なのかを判断し、必要に応じてオーバーライドを消去するか、スタイルを再定義します。
ページの追加・親ページ・ページ番号の使い方
ページパネルでページを管理する
[ウィンドウ]→[ページ]を開くと、ドキュメント内のページが一覧表示されます。サムネールをダブルクリックすると、そのページを表示できます。

| 操作 | 使い方 |
|---|---|
| 追加 | パネルメニューの[ページを挿入]を使います |
| 移動 | ページのサムネールをドラッグします |
| 複製 | 対象ページを複製します |
| 削除 | 不要なページを削除します |
冊子は、基本的に読者が読む順番でページを並べます。印刷用の面付けを考えて手動で順番を崩す必要はありません。
親ページで共通レイアウトを管理する
親ページは、複数ページで共通して使うレイアウトのひな型です。以前はマスターページと呼ばれていました。

- ページパネル上部のA-親ページなどを開きます。
- 共通の見出し位置や背景、ページ番号などを配置します。
- その親ページを通常ページへ適用します。
共通要素を修正するときは、通常ページではなく親ページ側を編集します。
ページ番号を自動で入れる
ページ番号は数字を手入力するのではなく、現在のページ番号マーカーを使います。
親ページでテキストフレームを作り、文字カーソルを置いて、[書式]→[特殊文字を挿入]→[マーカー]→[現在のページ番号]を選びます。

親ページ上ではAなどの文字で表示されても、通常ページではそのページの番号に置き換わります。
本文の途中から1で始めたい場合は、[ページ番号とセクションの設定]を使います。
保存・PDF書き出し・データ受け渡しの方法
INDD・PDF・IDMLの違い
| 形式 | 用途 |
|---|---|
| INDD | InDesignで編集を続ける作業ファイルです |
| 閲覧、確認、印刷に使う完成データです | |
| IDML | 別バージョンとの受け渡しに使う交換形式です |
INDDを保存しただけでは、リンク配置した画像がすべてファイル内に入るわけではありません。元画像も一緒に管理する必要があります。
プリフライトで出力前の問題を確認する
プリフライトは、文字のあふれ、リンク切れ、フォントの問題などを確認する機能です。
[ウィンドウ]→[出力]→[プリフライト]を開き、検出された項目と該当ページを確認します。
| 確認項目 | 起こり得る問題 |
|---|---|
| オーバーセットテキスト | 収まりきらない文章が出力されません |
| 画像のリンク切れ | 元画像を参照できません |
| 使用できないフォント | 文字組みが変わる可能性があります |
| 画像の解像度 | 粗く見える場合があります |

プリフライトでエラーが0でも、誤字脱字や入稿先独自の仕様まで自動で保証されるわけではありません。最終的には目視確認も必要です。
PDFとして書き出す
完成した紙面は、[ファイル]→[書き出し]からPDFにできます。印刷用なら、形式に[Adobe PDF(プリント)]を選びます。
| 設定 | 確認すること |
|---|---|
| ページ範囲 | 全ページか、一部ページか |
| ページ/見開き | 1ページずつ出すか、見開き単位で出すか |
| 圧縮 | 画質と容量のバランス |
| トンボと裁ち落とし | 印刷用の目印や裁ち落としを含めるか |

見開きで編集していても、PDFは1ページずつ書き出せます。編集画面の見開き設定と、PDFの出力単位は別です。
裁ち落としを含める場合は、[ドキュメントの裁ち落とし設定を使用]をオンにします。
編集データを渡すときはパッケージを使う
パッケージは、InDesignファイルとリンク画像などの関連素材を1つのフォルダーへまとめる機能です。

相手が見るだけならPDF、相手が編集を続けるならパッケージと考えると、渡し方を選びやすくなります。
環境設定で知っておきたいこと
初期設定は、最初からすべて変更する必要はありません。基本的にはデフォルトのままでも使えます。

環境設定の開き方

- Windows:Ctrl+K
- Mac:Command+K
Windowsは[編集]→[環境設定]、Macは[InDesign]→[環境設定]からも開けます。
初心者がよく確認する設定
| 設定 | 確認する内容 |
|---|---|
| 単位と増減値 | 文字サイズや定規の単位を変更できます |
| インターフェイス | 画面表示の見え方を調整できます |
| グリッド | グリッドの色や間隔を変更できます |

本文の書式を変える設定と、アプリの操作環境を変える設定は別です。まずは必要になったときに触れば十分です。
重いときは表示画質を見直す

古いPCなどで動作が重い場合は、[表示]→[表示画質の設定]から表示画質を下げると軽くなることがあります。
表示画質は、画面上の見え方を軽くする設定です。書き出しされるPDF自体の画質を直接下げる設定ではありません。
InDesignの使い方でよくある質問
ツールやパネルが消えたときは?
パネルがまとめて消えた場合は、文字編集を終えてからTabキーを押して表示を戻します。
特定のパネルだけ見当たらない場合は、[ウィンドウ]から必要なパネルを選びます。プロパティの項目が違う場合は、何を選択・編集しているかも確認してください。
オブジェクトを選択できないときは?
まず選択ツールで枠を選んでいるか確認します。文字を修正する場合は、文字ツールでフレーム内をクリックしてください。
選べない場合は、[ウィンドウ]→[レイヤー]でレイヤーやオブジェクトのロックを確認します。親ページの共通要素なら、ページパネルから親ページを開いて編集します。
青い枠やガイドは印刷されますか?
フレームの境界線やマージンなどの編集用のガイドは印刷されません。図形に設定した「線」は別で、印刷やPDFに出力されます。
仕上がりを確認するには、文字編集を終えてからWキーでプレビュー表示に切り替えます。もう一度押すと標準表示に戻ります。
文字が途中で切れ、赤い「+」が表示されるのはなぜですか?
赤い「+」は、フレームに収まりきらない文章がある合図です。文章は残っていますが、あふれた部分はそのままではPDFや印刷に出ません。
選択ツールで枠を広げるか、出力ポートから次のフレームへ連結します。操作例は文字のあふれとフレームの連結で確認できます。
縦書きで文字を入力するには?
ツールパネルの文字ツールを長押しして[縦組み文字ツール]を選び、ページ上をドラッグして文字の枠を作成します。
文字の縦書き・横書きと、ページの縦長・横長は別の設定です。縦書きにするためにページを回転させる必要はありません。
中央揃えにしてもページの中央にならないのはなぜですか?
段落の中央揃えは、フレームの中で文字を揃える設定です。フレーム自体の位置は変わりません。
フレームをページ中央に置くには、選択ツールで枠を選びます。プロパティパネルの[整列]で基準を[ページに揃える]にして、[水平方向中央に整列]を実行します。
文字色を変えたいのに、背景色が変わるのはなぜですか?
枠全体を選択したまま塗りを変更すると、フレームの背景色が変わります。文字ツールで色を変えたい文字をドラッグ選択してください。
その状態で[ウィンドウ]→[カラー]→[スウォッチ]を開き、[塗り]を選んで色を指定します。[線]を選ぶと文字の輪郭に色が付きます。
段組を設定したのに、本文が2段にならないのはなぜですか?
ページ側の[マージン・段組]は配置の目安となるガイドの設定で、作成済みの本文を自動では分割しません。
本文の枠を選び、[オブジェクト]→[テキストフレーム設定]で段数と段間を指定します。テキストフレーム内の段組も参考にしてください。
段落スタイルを変更しても、一部だけ書式が揃わないのはなぜですか?
同じ段落スタイルが適用されているかを確認します。スタイル名の横の「+」は、手作業の書式変更が追加された状態です。
不要な個別変更は、対象の文字を選び、段落スタイル名を右クリックして[「スタイル名」を適用、オーバーライドを消去]で戻せます。
文字スタイルによる強調は別の設定です。太字や色だけが残る場合は、文字スタイルも確認します。
フォントが見つからないと表示されたときは?
ドキュメントで使用しているフォントが、現在の環境で利用できない状態です。同じフォントを追加するか、使用できるフォントへ置き換えます。
使用箇所や置換は[書式]→[フォントの検索と置換]から確認できます。変更後は改行位置や文字のあふれも確認してください。
配置した画像が粗く見えるのはなぜですか?
まず[表示]→[表示画質の設定]→[高品質表示]に切り替えます。画面表示だけを軽くする設定が原因なら、画像の見え方が改善します。
変わらない場合は、元画像の解像度、拡大率、リンク切れを確認します。高品質表示は、元の画像や書き出し解像度を高くする機能ではありません。
画像を小さくすると切れてしまうのはなぜですか?
フレームだけを小さくすると、画像を縮小せずに表示範囲だけを狭める場合があります。写真が削除されたわけではありません。
枠を選び、[フレームサイズ調整]の[内容を縦横比率に応じて合わせる]を使うと、画像全体を枠内に収められます。縦横比が違う場合は枠内に余白ができます。
画像ファイルを移動してリンク切れになったときは?
[ウィンドウ]→[リンク]で該当画像を選び、[再リンク]から移動先の画像ファイルを指定します。
元画像を編集しただけなら[リンクを更新]を使います。ファイルの移動や名前変更で見つからない場合と、内容だけが更新された場合で対処が異なります。
ページ番号が「A」のままなのはなぜですか?
親ページ上で「A」などの文字になるのは正常です。その親ページを適用した通常ページでは、実際のページ番号に変わります。
通常ページでも「A」のままなら、文字を手入力していないか確認します。手入力の文字は番号にならないため、[現在のページ番号]のマーカーに置き換えます。
PDFを見開きではなく、1ページずつ書き出すには?
PDF書き出し画面の[一般]で、書き出し形式を[見開き]から[ページ]に変更します。
編集用ドキュメントの見開きをオフにする必要はありません。書き出したPDFを開き、1ページずつ分かれているか確認してください。
Illustratorを先に覚える必要はありますか?
必須ではありません。複数ページのレイアウト、文字入力、画像配置、ページ管理は、InDesignだけでも学べます。
ロゴや複雑なイラストを自分で作る必要が出てきたら、Illustratorを組み合わせると作業の幅が広がります。
Illustratorの使い方はこちらで解説しています。
InDesignの使い方まとめ
InDesignを初心者が理解するうえで、最初に押さえたいのは次の流れです。
- ページとフレームの考え方を理解する
- ワークスペースの見方と基本ツールを覚える
- ページ設定でサイズ、綴じ方、マージン、段組を理解する
- 文字と画像を配置し、整える
- スタイル、親ページ、PDF書き出しまで覚える
最初からすべてを完璧に覚える必要はありませんが、上記は冊子などのデザインを作成するうえで必要となるものです。この記事を必要な箇所から見返しながら、少しずつ操作に慣れていってください。

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