Photoshopの「マークアップ」は文字やラフで描いた内容をそのまま編集指示として利用できるAI機能です。
文章だけでは曖昧になりやすい「位置」「大きさ」「向き」を画像上で示せるため、意図に近い結果へ調整しやすくなります。
プロンプトで「何を変えるか」を伝え、マークアップで「どこに・どの形で・どの向きに変えるか」を補足します。
Photoshopのマークアップとは?
マークアップは、「プロンプトで編集」へ文字や描画を加え、画像内の場所、形、方向を生成モデルへ伝える機能です。
位置の説明や素材準備を減らし、文章だけでは伝えにくい編集意図を画像上で補足できます。
「プロンプトで編集」へ視覚的な指示を追加する
たとえば「ソファの前にテーブルを追加」と入力しても、左右どちらへ置くかは曖昧です。大きさも生成モデルの判断になります。「右横に、小さな」など追加すればある程度伝えられますが、距離や大きさを文章だけで細かく指定するのは難しい部分です。

上図のように、置きたい場所へ丸や線だけの大まかな形を描けば、文章だけでは不足していた位置と大きさを補足できます。

| 指示方法 | 主に伝える内容 |
|---|---|
| プロンプトのみ | 追加する物、色、素材、仕上がり |
| プロンプト+マークアップ | 位置、大きさ、形、方向、対象 |
| 選択範囲やマスク+プロンプト | 変更を適用する境界 |
マークアップを使うと生成AIへの指示が文章だけのやり取りから、画像を見ながら行う赤入れに近い操作へ変わります。
テキストマークアップとブラシマークアップの違い


マークアップには「画像内にメモを追加する方法」と「ブラシで直接描く方法」の2つがあります。
実際に試してみた感じでは、生成する物の位置や形はテキストマークアップよりブラシマークアップのほうが指定しやすかったです。一方、「赤に変える」「小さくする」など、既存オブジェクトへの変更はテキストマークアップのほうが使いやすく感じました。
| 種類 | 主な使い方 |
|---|---|
| テキストマークアップ | 画像上へ変更内容や補足を書く |
| ブラシマークアップ | 線、囲み、矢印、ラフな形を描く |
テキストとブラシは同時に使用できます。ラフな形をブラシで描いて近くへ素材や仕上がりを文字で書く使い方も可能です。
マークアップを使うと画像編集がどう変わる?
マークアップを使うと、画像内の位置関係を文章だけで説明せず、描画やメモで直接伝えられます。
- 赤入れに近い感覚で指示できる:円、矢印、メモを使い、修正内容を画像上からそのまま伝えられる
- 位置説明を短くできる:置きたい場所や大きさは描画で行いプロンプトは素材や仕上がりの指定に使える
- 複数個所をまとめて編集しやすくなる:プロンプトが長文にならないため一度に複数指示をしやすくなる
赤入れに近い感覚でAIに指示できるというのが一番イメージしやすい変化だと思います。
Photoshopでマークアップを使う方法
基本操作は、モデルを選び、画像上へ指示を加えて生成する流れです。
Photoshopで画像を開き、編集対象となるピクセルを含むレイヤーを選択します。
ブラシで描いた内容が見えない場合は、作成された「ブラシマークアップ」レイヤーをレイヤーパネルの一番上へ移動してください。

コンテキストタスクバーからプロンプトで編集を選択します。
バーが表示されない場合はウィンドウ→コンテキストタスクバーにチェックを入れてください。

プロンプト入力画面の下にあるブラシアイコンを選択します。
ブラシで描くと選択中のレイヤーの上へ「ブラシマークアップ」レイヤーが作成されます。


画面上に文章を置く場合はメモアイコンを選択します。
テキストマークアップではレイヤーが作成されず、画面上のクリックした位置に直接テキストを乗せることができます。修正指示を付箋で指示するイメージで画面上にテキストを追加しましょう。

画面上に置いたテキストマークアップはドラッグして移動させることもできます。

ブラシマークアップで描いた線が何を表すのか伝わるようにプロンプトで説明します。
メモアイコンで追加したテキストマークアップに関してはメモがそのままプロンプトになるため、プロンプトを記載しなくても大丈夫です。

「生成」を選択すると、新しい生成レイヤーが作成されます。
上図の例では複数の要素をまとめて変更しましたが、マークアップ指示通りの生成ができました。
生成レイヤーが作成されると同時にブラシマークアップレイヤーやテキストマークアップは消えます。

生成すると画面上のマークアップは消えますが、生成レイヤーのプロパティパネルから前回と同じ指示条件で再生成できます。
マークアップの精度を上げるプロンプトの書き方
期待どおりにならない場合はブラシマークアップで線を細かく描き込むより、マークの意味と変更条件をプロンプトへ追加するほうがうまくいきやすいです。
また、複数の要素が重なる場合はブラシの色を分けるのも効果的です。ブラシの色は赤である必要はなく、青色に変更して「赤い四角の位置」「青い四角の位置」と分けて指示することもできます。
- マークの意味を書く:「赤い四角の位置」「青い矢印の先」のように、色や形と変更内容を対応させる
- 変更範囲を文章でも限定する:囲みはマスクではないため、「赤い円の外側は変更しない」など維持条件を加える
- 短く具体的に書く:対象、動作、位置や大きさ、維持する要素を必要な範囲で言い切る
- 変更を分ける:結果が安定しない場合は、追加、位置調整、色変更、背景変更を一度に行わない
- 見分けやすい色と単純な形を使う:背景と重ならない色で、円、四角、矢印、簡単な外形を描く
マークアップでできること・おすすめの活用例
マークアップは、物の位置や大きさ、向き、ラフな形、複数の変更箇所を視覚的に伝える用途に向いています。
特に相性がよいのは、文章では説明しにくい空間的な指示と完成前のアイデア検討です。
物の位置と大きさを指定する・変える

ブラシマークアップを活用しやすいのは要素を追加する時や、大きさを変えたい時です。
追加したい場所へ外形を描き何を生成するのかを文章で伝えます。
- 家具の幅と高さを四角形で描く
- 人を配置したい場所へ棒人間を描く
- 商品周辺へ追加する装飾を描く
ただし、マークアップはあくまで簡易的な図示を行うものです。精密なサイズ変更などはできません。
矢印で移動先や向きを伝える

矢印を描いて被写体の向きや物を移動する場所を伝えられます。
複数の要素の向きをまとめて変えたいときやプロンプトで指示するのが難しいときはブラシマークアップで矢印指示を使ってみてください。
ラフな形を完成した物へ変える

追加したい物の幅、高さ、傾きがわかる程度に描けば、ラフを完成したオブジェクトへ変換できます。
- ランプや家具
- 花瓶や植物
- 雲や建物
- 背景装飾やステッカー
- ポスターやサムネイルの装飾
細部まで描き込むより、輪郭を単純にして素材やデザインをプロンプトで補うほうがきれいに仕上がりやすいです。
複数の変更箇所をテキストマークアップで指定する

テキストマークアップは対象の近くへ個別のメモを置けるため、複数の変更箇所をまとめて指定できます。
- 色を変える
- 物を置き換える
- 素材を変える
- 大きさを変える
- 数量を変える
特に画像内に要素の数が多く、プロンプトで「どれ」をうまく説明しにくいシーンで役に立ちます。
生成塗りつぶしや選択ブラシとの違い
マークアップは、生成塗りつぶしの代替機能でも上位機能でもありません。
マークアップは位置や意図をAIに伝える機能で、生成塗りつぶしは編集範囲を決める機能です。
| 機能 | 指定方法 | 得意なこと |
|---|---|---|
| マークアップ | 文字や描画+文章 | 位置、形、大きさ、方向の補足 |
| 生成塗りつぶし | 選択範囲+文章 | 範囲選択した場所への追加や置換 |
| 選択ブラシツール | ブラシ操作 | 選択範囲の作成 |
| 通常のブラシツール | ブラシ操作 | レイヤーへ色を描画 |
マークアップは意味や意図を伝える
マークアップで描いた円や矢印はAIへの指示(プロンプト)の一部です。
文章だけで伝えていた指示の一部を、画像上のメモや描画で補えるのがマークアップです。
「この場所」「この向き」「この程度の大きさ」などを視覚的に伝える用途に向いています。
生成塗りつぶしとマスクは編集範囲を決める
生成塗りつぶしでは、投げ縄ツールや選択ブラシで生成範囲を指定します。狭い場所へ物を追加する場合や被写体を再生成したくない場合に役立ちます。
マスクを使うと、生成してよい範囲をさらに限定できます。人物の顔、商品、背景の一部を変更対象から外したい場合に使用してください。

選択ブラシツールは選択範囲を作る
ブラシマークアップと選択ブラシツールは、どちらも画像上をブラシでなぞりますが、描画後に作られるものが異なります。
| 機能 | ブラシで描いた結果 |
|---|---|
| ブラシマークアップ | 生成AIへの視覚的な指示になる |
| 選択ブラシツール | 編集範囲を示す選択範囲になる |
| 通常のブラシツール | 画像やレイヤーへ色が描画される |

マークアップが表示されない・使えない場合の対処法
マークアップが使えない場合は、表示されている症状に合わせて確認してください。
- マークアップが表示されません
-
Photoshop 27.10以降へアップデートし、編集対象のレイヤーを選択して「プロンプトで編集」を開いてください。
古いバージョンではマークアップを利用できません。
- コンテキストタスクバーが表示されません
-
ウィンドウ→コンテキストタスクバーにチェックを入れて有効にしてください。
コンテキストタスクバー表示後に編集対象のレイヤーを選び「プロンプトで編集」を開きます。
- メモとブラシのアイコンがグレーで押せません
-
マークアップに対応していない生成モデルを選択しているとマークアップのボタンを押すことができません。
Gemini 3.0またはGemini 3.1へ切り替えてください。Gemini 2.5、FLUX、Fireflyモデルではマークアップを使用できません。
- Gemini 3.0や3.1を選択できません
-
パートナーモデルの利用状態を確認してください。初回利用時の同意、アカウントや管理者による制限、生成クレジットなどが利用可否に関係します。
パートナーモデルの詳細は、Photoshopでパートナーモデルを使う方法で詳しく説明しています。
- ブラシで描いてもマークアップが見えません
-
「ブラシマークアップ」レイヤーが別の画像レイヤーの下に隠れている可能性があります。
ブラシマークアップは、描画開始時に選択していたレイヤーのすぐ上へ作成されます。レイヤーパネルで「ブラシマークアップ」を一番上へ移動してください。
- マークアップを入れても指示どおりに生成されません
-
一度に行う変更を一つに減らし、円、四角、矢印などの単純なマークへ描き直してみてください。
マークの色と意味、変更範囲、維持する要素もプロンプトへ書いてください。詳しい書き方は「マークアップの精度を上げるプロンプトの書き方」で説明しています。
Photoshopのマークアップに関するよくある質問
- ブラシマークアップとは何ですか?
-
ブラシアイコンを使い、画像上へ円、矢印、囲み、ラフな形を描く方法です。
描画を始めると選択中のレイヤーの上へ「ブラシマークアップ」レイヤーが作成されます。
このレイヤーに描いた内容はAIへの指示として使うことができます。
- テキストマークアップとは何ですか?
-
メモアイコンから画像上へ変更内容を入力する方法です。
画面上をクリックするとその箇所に付箋のようにメモを貼ることができ、生成時にメモの内容を反映してくれます。
- テキストとブラシを同時に使えますか?
-
同時に使用できます。
ブラシで位置や形を描き、テキストで何へ変更するかを説明すると、両方の情報を使って生成されます。
- マークアップを利用できるモデルはどれですか?
-
Gemini 3.0とGemini 3.1で利用できます。
Gemini 2.5やFireflyモデルでは利用できません。非対応モデルを選択すると、メモとブラシのアイコンがグレー表示されます。
- 生成クレジットはいくつ消費しますか?
-
マークアップの生成画面では、Gemini 3.1は1回10〜30クレジット、Gemini 3.0は1回40〜80クレジットと表示されます。
消費量は出力サイズによって変わります。生成ボタンにカーソルを合わせると、実行前に必要なクレジット数を確認できます。
- 一度に何個の生成結果が作られますか?
-
Geminiモデルの画像生成は1回の生成につき、生成結果は1つです。
別案を作る場合は再度生成します。(再生成するたびに生成クレジットを消費します)
- ブラシマークアップのレイヤーは生成後も残りますか?
-
残りません。生成レイヤーが作成されると同時に、ブラシマークアップとテキストマークアップの表示は消えます。
画面上の指示を記録したい場合は、生成前にスクリーンショットを保存してください。前回と同じ条件での再生成は、生成レイヤーのプロパティパネルから行えます。
- ブラシで描いた色で生成されますか?
-
ブラシで描いた色が、そのまま生成結果の色になるとは限りません。
色を変更する場合は「赤い円の部分を濃い青へ変更」のように、希望する色をプロンプトへ書いてください。
- Photoshop web版でもマークアップを使えますか?
-
Photoshop web版にもAIマークアップがあります。
デスクトップ版とは、ボタンの位置や操作方法が少し異なります。画像上へ文字やラフを加え、生成AIへ変更内容を伝える考え方は同じです。
- マークアップと生成塗りつぶしはどちらを使うべきですか?
-
位置、大きさ、向き、形を大まかに伝える場合はマークアップが向いています。
変更範囲を厳密に限定する場合は、選択範囲やマスクを使った生成塗りつぶしが適しています。
人物の顔や商品ロゴを維持したい場合は、変更箇所だけを選択して生成塗りつぶしを使うか、生成後に元画像を重ねて仕上げます。
- 変更を指示していない箇所まで変わるのはなぜですか?
-
マークアップでは画像全体を対象に新しい生成レイヤーが作成されるため、指示していない部分も再生成されます。
そのため、顔立ち、髪、ロゴ、文字、模様などが元画像から変わることがあります。
人物や商品を元のまま残す場合は、あらかじめ被写体を別レイヤーへ切り抜き、生成結果の上へ重ねて仕上げてください。
Photoshopのマークアップを使うと、文章だけでは説明しにくい位置、形、大きさ、方向を画像上で伝えられます。
物の位置や大きさの調整、矢印による方向指定、ラフからのオブジェクト作成、複数箇所への変更指示など、完成前の案を素早く試す場面で特に便利なのでぜひ使ってみてください。
本機能以外のPhotoshopのAI機能については以下の記事で解説しています。



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