Photoshopで合成を行ったり、被写体を際立たせる際に役立つ「ぼかし」
以前はたいへんな作業でしたが、最新のPhotoshopを使えば初心者でもかんたんに綺麗にぼかす機能が搭載されています。
- 最新版Photoshopの新機能を使ったAIぼかし
- 部分的にぼかしの強さを変えるフィールドぼかし
- グラデーションを使ったぼかし
- マスクを使って好きな部分だけをぼかす
最新のぼかしテクニックから定番の手法まで、Photoshopを使ったぼかし加工の手順をわかりやすく解説します。
AI機能を使った深度ぼかしで一眼レフのようなボケを再現
ニューラルフィルターの「深度ぼかし」使った一番かんたんな方法から解説します。
ニューラルフィルターの深度ぼかしはAdobe Photoshop 2022 Ver.23.0以降でしか使用ができません。
ニューラルフィルターの深度ぼかしとは?
ニューラルフィルターはAIテクノロジーAdobe Senseiを使った自動処理のこと。
フィルターをかけるだけでAIがいい感じに画像加工してくれるので複雑な作業が一切不要なのが最大のメリット。
上の写真は深度ぼかしを適用したのみです。範囲選択や特別な処理は一切行っていません。
拡大してみると「遠くが強くぼけ」「近くが少しぼけ」立体感のあるぼかしになっているのがわかると思います。
以前はこのような深度に応じた自然なぼかしを再現する際には白黒の深度マップを手作業で作成する必要がありました。
AIが自動で深度マップを作成&ぼかし処理をおこなってくれるようになったので誰でもかんたんに立体感のあるぼかしフィルターをかけられるようになりました。
深度ぼかしを使う方法
深度ぼかしを使う手順は以下のとおり。
- ぼかしたい画像レイヤーを選択する
- 上部メニューの【フィルター】を選択
- フィルターメニュー内の【ニューラルフィルター】を選択
- ニューラルフィルター左タブの【深度ぼかし】を選択
- 被写体がある場合は【被写体にフォーカス】にチェックまたはクリックしてポイントを指定
- 出力先を指定してOKを押して完成
焦点距離の数値を上げると被写体の周辺のボケが弱くなります。
また、ぼかしの強さや色調補正も同時に行うことができます。
被写体がない写真にも深度ぼかしが使える
被写体のない風景写真にも深度ぼかしを適用することができます。
- 被写体にフォーカスのチェックを外す
- 焦点ポイントをクリックしてピント指定
- ぼかし強度や色調補正をしてOKを選択
焦点指定した部分にピントが合い、他の箇所をぼかすことができます。
ぼかし度合いや焦点範囲は被写体ありのときと同じようにスライダーを動かしていい感じになるように調整してみてください。
被写体に合わせる場合は粒子の数値を上げると馴染む
深度ぼかしのオプション下にある【粒子】の値を上げると、ノイズが入るので被写体が馴染みやすくなります。
合成した画像に対して深度ぼかしを適用する際などは粒子を入れてあげることで加工感を減らす事ができます。
AIによる深度ぼかしは完璧ではない
AIが自動で被写体を認識してぼかしをかけるため写真によってはうまくいかないことがあります。
人物に関しては精度良いのですが、荷物や道具などはうまく認識されずにぼかしの範囲がおかしくなることがあります。
ぼかしの強さを弱めれば気にならないレベルですが、上図のようにぼかしレベルをMAXにすると違和感が強く出てしまいます。
ぼかし(レンズ)の深度マップで綺麗にぼかす方法
ニューラルフィルターで綺麗にぼかすことができなかった場合の対処法を解説します。
まずは、深度ぼかしの【深度マップのみを出力】を選択して、白黒の深度マップを出力しましょう。
ぼかしそこねた部分が白くなっているはずなので、その部分をブラシツールで黒く塗りつぶしましょう。
黒色の箇所がピントが合っている部分です。
黒の濃さによってボケ具合が変わるので少しぼかしたい場合はグレーで塗っていきましょう。
深度マップ用のチャンネルを作成します。
通常の写真を非表示にして、出力された深度マップレイヤーを選択します。
チャンネルタブに切り替えてブルーのレイヤーを複製し、深度マップと名前をつけておきましょう。
フィルターメニューからぼかし(レンズ)を選択します。
ぼかし(レンズ)の設定オプションで深度情報のソースを深度マップに指定すると深度マップどおりのぼかしが適用されます。
あとはオプションを調整してOKを押せば完成。
フィールドぼかしでポイントに合わせて調整する方法
フィールドぼかしを使ったぼかし方法を解説します。
フィールドぼかしフィルターの特徴
フィールドぼかしはポイントごとにぼかしレベルを指定することができるフィルターです。
上図のようにぼかしたいエリアにピンを打ち込んでいき、個々のピンのぼかしレベルを調整して部分的にぼかす事ができます。
「フィールドぼかし」は「深度ぼかし」と違い、被写体にフォーカスしてくれる機能ではないので被写体の切り抜きが必要になります。
フィールドぼかしの使い方
フィールドぼかしを使う手順は以下のとおりです。
- 人物を切り抜く
- 背景レイヤーを選択
- 上部メニュー【フィルター】
- ぼかしギャラリー【フィールドぼかし】
- ピンを打ち込みドラッグしてぼかしレベルを設定
- 上部オプションバーのOKを押して確定
フィールドぼかしのポイントピンはいくつも打ち込むことができるので自然なボケ具合になるように焦点距離を基準にぼかしレベルを設定していきましょう。
ピンはクリックすることでぼかしレベルを変更することが可能になります。
チルトシフトで段階的にぼかす
チルトシフトは以下の手順でフィルターを適用できます。
- 上部メニュー【フィルター】
- ぼかしギャラリー
- チルトシフト
チルトシフトでは主に以下の3点を調整します。
- 角度を変える
- ぼかしの強度を変える
- ぼかしの切り替わりポイントを変える
いい感じのぼかし具合になったらOKを押して確定します。
切り替わりポイントが近い状態でぼかし強度を上げると不自然なぼかしになるので注意してください。
スマートオブジェクトの状態でフィルターをかければ再編集が可能
画像を保護し劣化を防ぐスマートオブジェクトに設定した状態でフィールドぼかしをかけると「スマートフィルター」としてぼかしが適用されます。
レイヤーのぼかしギャラリーと表示されている部分をダブルクリックすれば再びフィールドぼかしの設定画面が表示されてピンのぼかしレベルの変更が可能。
スマートオブジェクトにせずにフィールドぼかしを行った場合はCtrl+Zで戻る以外にやり直す方法がないのでスマートオブジェクトにしてからフィルターをかけるようにしましょう。
グラデーションを使って円形や線上にぼかす方法
グラデーションツールを使ってピンポイントでぼかす方法を解説します。
前述した方法でぼかしたほうが立体感のある自然なぼかしになりますが、部分的にぼかしたい場合はグラデーションでぼかす方法が役に立ちます。
白黒のグラデーションで円形にぼかす方法
グラデーションでぼかす手順は以下のとおりです。
- 画像をスマートオブジェクトに変換する
- 上部メニューの【フィルター】から【ぼかし】
- ぼかし(ガウス)を選択してフィルターを適用
- フィルターのマスク部分にグラデーションツールで円形に塗りつぶす
順番に解説します。
最初にぼかしたい画像のレイヤーを右クリックして「スマートオブジェクトに変換」をクリック。
スマートオブジェクトにすることでフィルターにマスクをかけることが可能になります。
フィルターメニューからぼかし(ガウス)を選択してぼかしを適用します。
ぼかしの強さはあとからでも変更可能なのでわかりやすいようにはっきりとボケがわかる強さで設定しておきましょう。
フィルターを適用した画像レイヤーの下にスマートフィルターが追加されました。
スマートフィルターの白い部分をクリックして選択し、グラデーションツールを使って円形や線形で塗りつぶすとグラデーションの範囲に応じてぼけが適用されます。
レイヤーマスクは黒部分を非表示にする機能です。
フィルターに対してマスクをかけると黒い部分のフィルター効果を消すことができます。
フィルターマスクにグレースケールのグラデーションをかけることで黒から白にかけてだんだんぼやけていく加工が行なえます。
ぼかしたい部分は白(ぼかしたくない部分は黒)
スマートフィルター&レイヤーマスクを使うことでぼかしたい部分とピントを合わせる箇所を白と黒で調整可能になります。
- ぼかしたい部分:白
- すこしぼかしたい部分:グレー
- ピントを合わせたい部分:黒
上図のようにグレースケールでぼかしの適用範囲を設定できるのでグラデーションツールやブラシツールで自由にぼかしてみてください。
グラデーションツールの設定を変更すれば円形、線形とわず好きな形状にぼかしていくことができます。
グラデーションツールは上部のオプションバーから円形や線形を選択することができます。
この他にもPhotoshopの便利な使い方を解説しています。
以下の記事なども参考にしてみてください。
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