Adobe InDesignで雑誌や書籍を作るときに作業を分担することがあります。ページはデザイナー、文章はライターや編集者が担当します。
Adobe InCopyは、ライターや編集者向けの文章編集アプリです。InDesignのレイアウトを見ながら、文章を入力・修正・校正できます。
InCopyはデザインと文章の作業を分けて、複数人で一つの印刷物を作るために使います。
InCopyとは?できることや特徴を解説

InCopyは、ライター、編集者、校正者など、文章を担当する人向けのAdobeアプリです。
雑誌、書籍、カタログ、教材、マニュアルなど、レイアウトと文章を別の担当者が作る制作現場で役立ちます。
InCopyだけで文章を作ることもできますが、主な使い方はInDesignとの連携です。完成に近い紙面を見ながら、文章の長さや改行を調整できます。
InCopyには文章の執筆から校正に必要な機能が揃っている
InCopyには、文章の執筆から校正までに必要な機能がまとまっています。
- 文章の入力、修正、検索、置換
- 文字スタイルや段落スタイルの適用
- InDesignで作られた紙面の確認
- 文字が枠内に収まっているかの確認
- 変更履歴の記録と承認・却下
- 編集者やデザイナーへの注記の追加
3つの表示を切り替えて文章を編集できる
InCopyには、目的の異なる3つの表示があります。
| 表示 | 向いている作業 |
|---|---|
| レイアウトビュー | 実際のページを見ながら文章を調整する |
| ゲラビュー | 改行や文字の過不足を確認する |
| ストーリービュー | レイアウトから離れて文章編集に集中する |
紙面全体を見たいときはレイアウトビュー、文章だけを集中して直したいときはゲラビューやストーリービューを使います。
文字が枠に収まるか確認できる
印刷物では、文章が長すぎると文字枠からはみ出します。短すぎると、予定していた場所に大きな空きができます。
InCopyのコピーフィット情報を見ると、あと何文字入るか、どれくらい文字が多いかを確認できます。
文字が入り切らない状態は「オーバーセット」として表示されるため、ライター自身が紙面に収まる長さへ調整できます。
変更履歴と注記を残せる
変更履歴を有効にすると、誰が文章を追加・削除・移動したかを記録できます。
修正内容は一つずつ承認または却下できるため、元の文章と見比べながら校正できます。
変更箇所の差分は、ゲラビューまたはストーリービューで確認します。レイアウトビューで編集した内容も履歴には記録されます。
文章を直接書き換えずに相談したい箇所には、注記を残せます。「数字を再確認」「見出しを短くしたい」など、担当者への連絡に便利です。
InCopy on the web(Beta)ならブラウザでも文章を編集できる
InCopy on the webは、InDesignから共有された文章をブラウザで編集できる機能です。
ライターや編集者はデスクトップ版InCopyをインストールせず、無料のAdobe IDで共有された原稿を編集できます。
- ブラウザで文章を入力・修正できる
- InDesign側へ編集内容がリアルタイムで同期される
- 文章だけに集中できるFocus Modeを使える
- 文字が枠からはみ出すと警告が表示される
- 同じ文字枠はロックされ、上書きを防げる
共有された文章を少し直すだけなら、無料のWeb版で十分な場合もあります。有料のデスクトップ版InCopyが必ず必要なわけではありません。
Web版を使うと、InDesign文書は共同編集用のクラウド文書へ変換されます。手元のINDDファイルをそのままブラウザで開く仕組みではないため、社内サーバーやローカルのリンク画像を使う制作では共有後の表示を確認します。
一方、デスクトップ版InCopyでは、3つの表示、変更履歴、注記、アサインやパッケージを使ったファイル運用など、より本格的な執筆・校正を行えます。
InDesignとInCopyの違い
InDesignとInCopyの違いを比較すると以下のようになります。
| 比較項目 | InDesign | InCopy |
|---|---|---|
| 主な利用者 | デザイナー DTP担当者 | ライター 編集者・校正者 |
| 主な役割 | ページとレイアウトの作成 | 文章の入力・編集・校正 |
| 文字の編集 | できる | できる |
| 紙面を見ながら編集 | できる | できる |
| 変更履歴・注記 | できる | できる |
| 文字枠・段組み・レイアウト変更 | できる | できない |
| 単体プラン価格 | 3,280円/月 | 680円/月 |
一人でページデザインまで作るならInDesign、InDesignで作られた紙面の文章だけを担当するならInCopyと考えるとわかりやすいです。
InDesignの機能や用途は、Adobe InDesignの使い方とできることで詳しく解説しています。
InDesignは紙面、InCopyは文章を担当する
2つのアプリは、次のように役割を分けて使います。
- InDesign:ページ、文字を置く枠、段組み、画像、全体のレイアウトを作る
- InCopy:用意された紙面を見ながら、文章を入力・修正・校正する
デザイナーはInDesignで紙面を整え、ライターや編集者はInCopyで原稿を直します。担当範囲を分けることで、デザイナーに文章修正を毎回頼む手間を減らせます。
InDesignでも文章編集できるが、InCopyなら編集者用の環境を安く用意できる
InCopyで行う文章編集の多くはInDesignでも行えます。InDesignはページレイアウトから文章編集まで扱えるため、機能の幅だけを比べればInDesignのほうが上です。
それでもInCopyを使う理由は、ライターや編集者までInDesignを使う必要がなくなるためです。
デザイナーはInDesignでページを作り、ライターや編集者はInCopyで文章だけを担当します。InDesignと連携した原稿では、InCopyから文字枠や段組みなどのレイアウトを変更できないため、デザインを崩さずに文章だけを直接修正しやすくなります。
また、InCopyには文章を読みやすく表示するゲラビューやストーリービュー、文字の過不足を確認するコピーフィットなど、原稿編集に向いた画面が用意されています。
InCopyの使い方|InDesignと共同作業する流れ
InCopyは、InDesign側で用意された文章を受け取り、編集後に返す流れで使います。
デザイナーがページと文字枠を作り、ライターや編集者に渡す文章をInCopy用に書き出します。複数の文章は「アサイン」という作業セットにまとめられます。
ライターや編集者がInCopyで共有されたアサインや原稿を開きます。文章だけでなく、InDesignで作られたページの見た目も確認できます。
文章を編集する前に「チェックアウト」を行います。共有場所からその文章を借り出すイメージで、チェックアウト中は自分だけが編集できます。
表示を切り替えながら文章を修正します。必要に応じて変更履歴や注記を使い、文字が枠内に収まるかも確認します。
編集が終わったら保存し、文章をチェックインします。共有場所へ返すイメージで、ロックが解除され、ほかの担当者も再び編集できる状態になります。
外部ライターと共有サーバーを使わずに作業する場合は、必要なデータをまとめたアサインパッケージを送受信する方法もあります。
InCopyを使う3つのメリット

デザインと文章の作業を並行して行える
デザイナーがInDesignでページを整えている間に、ライターや編集者は別の文章をInCopyで修正できます。
文章修正のたびにデザイナーへ依頼する必要がないため、担当者同士の待ち時間を減らせます。
実際の紙面を見ながら文章を調整できる
PDFを書き出して確認しなくても、InDesignのレイアウトをInCopyで見られます。
見出しが長すぎないか、説明が枠からはみ出していないかを、文章担当者が自分で調整できます。
InCopyはInDesignと同じ文字組み結果を表示します。改行や文字あふれを実際の紙面と同じ状態で確認できるため、あと何文字削れば収まるかを文章担当者自身で判断できます。
InCopyは価格が安く、費用を抑えやすい
InDesignが月額3,280円に対して、InCopyは月額680円です。
文章の編集だけを担当する人にInDesignの全機能は必要ないため、InCopyだけを用意すれば済みます。特にライターや編集者が多いチームでは、担当に合わせてアプリを分けることで費用を抑えられます。
InCopyで共同編集するときの注意点
InCopyの共同編集は便利ですが、Googleドキュメントのような同時入力とは仕組みが異なります。
同じ文章を複数人で同時編集することはできない
一つの文章を誰かがチェックアウトすると、その間はほかの人が同じ文章を編集できません。
複数人が一つの制作物へ同時に関われるのは、担当する文章や作業場所を分けているためです。この仕組みによって、同じ文章を上書きする事故を防ぎます。
作業後はチェックインまで行う
保存しただけでは、編集権をほかの人へ返したことになりません。
作業が終わったらチェックインし、次の担当者が編集できる状態に戻します。
InDesign側で文字枠や段組みが変わった場合は、InCopy側でもデザインを更新してから文字量を確認します。
共同作業を始める前にファイルと操作ルールをそろえる
InCopyは、アプリを入れるだけで共同編集が始まるわけではありません。共有場所、ファイル名、チェックアウトとチェックインの手順をチームでそろえます。
デスクトップ版では、InDesignとInCopyのメジャーバージョンもそろえます。同じチームで繰り返し制作する案件ほど効果が出やすく、単発案件では準備や操作説明の手間が上回ることもあります。
別にバックアップを用意する
InDesignとInCopyの標準的な共同作業では、更新のたびに古いファイルが自動保存されるわけではありません。
大切な制作物は、共有フォルダのバックアップや世代管理を別に用意します。問題が起きても、以前の状態へ戻しやすくなります。
InCopyの料金・無料体験・ダウンロード

InCopyの単体プランは3種類
| ソフトウェア | 月額 (月々払い) | 年間 (毎月払い) | 年間 (一括払い) |
|---|---|---|---|
InDesign CC | 4,980円 | 3,280円 | 34,680円 (2,890円/月) |
InCopy CC | 1,080円 | 680円 | 6,780円 (565円/月) |
InCopy単体プランは、月々プランが1,080円/月、年間プランの月々払いが680円/月、年間一括払いが6,780円/年です。
文章の編集だけを担当する人はInCopyを選びます。ページの作成やレイアウトまで行う人には、InDesignの料金プランが必要です。
InCopyはCreative Cloud Proにも含まれる
InCopyはCreative Cloud Proにも含まれます。Proでは、PhotoshopやIllustratorなど20以上のAdobe CCアプリをまとめて使えます。
InCopyだけを使うならInCopy単体プラン、複数のAdobeアプリを使うならCreative Cloud Proなどのプランを選ぶと無駄がありません。
InCopyは7日間無料で体験できる
InCopyには7日間の無料体験があります。操作画面、InDesignとの連携、コピーフィットなどを契約前に試せます。
無料期間が終わる前に解約しなければ有料プランへ移るため、試用だけの場合は期間内に解約します。

Adobe InCopyに関するよくある質問
- InCopyが向いているのはどんな人ですか?
-
InCopyが向いているのは、雑誌・書籍・カタログなどの文章入力、修正、校正だけを担当する人です。
ページのレイアウトまで担当するならInDesignを使います。チームやクライアントがInDesignを使わない仕事や、ブログ・一般文書だけを作る場合もInCopyを使いません。
- 原稿作成の最初からInCopyを使う必要がありますか?
-
必要ありません。大幅な執筆や著者とのやり取りはWordなどで進め、InDesignへ配置した後の校正や文字量調整からInCopyへ切り替える方法もあります。
同じチームで継続して制作する場合は、最初からInCopyを使う運用も選べます。
- InCopyだけでも文章を作れますか?
-
InCopyだけでも文章を作成できます。ただし、InDesignの紙面を見ながら共同作業するには、InDesign担当者が編集用データを用意する必要があります。
- 複数人で同じ文章を同時に編集できますか?
-
同じ文章を複数人で同時編集することはできません。編集する人がチェックアウトすると、その文章はほかの人から編集できない状態になります。
しかし、複数の文章やデザイン作業を分ければ、一つの制作物を並行して進められます。
- InCopyはInDesignの安い代替ソフトですか?
-
文章編集だけならInCopyで対応できますが、InDesignのような本格的なページレイアウトは作れません。機能の幅ではInDesignのほうが上です。InCopyは、InDesignの代わりではなく、文章だけを担当する人向けに機能と料金を絞ったアプリです。
- InCopy on the webが無料ならデスクトップ版InCopyは不要ですか?
-
共有された文章を入力・修正するだけなら、無料のWeb版で十分な場合があります。共有する側にはInDesignが必要です。
変更履歴や注記、3つの表示、アサインやパッケージを使った本格的な執筆・校正まで行う場合は、デスクトップ版InCopyが向いています。
- InCopy CCと現在のInCopyは別のソフトですか?
-
いいえ、同じソフトです。
InCopy CCは、Creative Cloudの略称です。現在は製品名として「Adobe InCopy」と表記されることが多く、この記事でもInCopyに統一しています。
InCopyは、InDesignの制作をデザイナーと文章担当者で分けるときに役立つアプリです。
用意された紙面で本格的な執筆・編集・校正を担当するならデスクトップ版InCopy、共有された文章を簡単に直すだけならInCopy on the webを使えます。一人で文章からレイアウトまで作るならInDesignを選びましょう。


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