
アドビストックのライセンスは自由度が高いって聞いたけど、具体的に何しちゃダメなの?
Adobe Stockのライセンスは比較的シンプルですが、いくつか気をつけなくてはいけないポイントがありますのでご紹介します。
そもそもAdobe Stockってなに?どんなサービス?という方は以下の記事をご覧ください。
Adobe Stockのライセンスの種類と違い

Adobe Stockには3つのライセンスが存在していますが、基本的なルールは同じです。
ライセンスの種類と違いは以下の表のとおりです。
使用用途 | 通常 | 強化 | 拡張 |
---|---|---|---|
商用利用を行う | ◯ | ◯ | ◯ |
WebサイトやSNSでの表示回数 無制限 | ◯ | ◯ | ◯ |
アセットに変更や加工を加える | ◯ | ◯ | ◯ |
印刷物や電子広告など表示 50万回未満 | ◯ | ◯ | ◯ |
印刷物や電子広告など表示 50万回以上 | × | ◯ | ◯ |
アセットそのものが商品価値になる利用 | × | × | ◯ |
スタンドアロンファイルを配布(素材そのもの) | × | × | × |
ライセンスのランクを上げると完全に上位互換になりますが、ストック素材の料金も上がっていきます。
基本的には通常ライセンスで問題ありませんが、条件から外れる場合があるのでしっかりライセンスの枠を理解しておきましょう。
通常ライセンスのカバー範囲は広い
Adobe Stockの多くの素材は通常ライセンスになっています。
商用利用が可能で、素材を加工・編集することも可能
以下の媒体で使用する場合には閲覧回数の制限なく使用可能です。
- Webサイト
- モバイルアプリ
- SNSメディアサイト
しかし、それ以外の用途(印刷物、ソフトウェア、放送番組、広告など)は閲覧数が50万までの制限がありますので、閲覧数が多くなる場合は後述する強化ライセンスを利用しましょう。
強化ライセンスは印刷部数が膨大な場合
印刷部数や閲覧者数が50万を超える場合には強化ライセンスを使用しましょう。
また、以下のような通常ライセンスが存在しないアセットもあります。
- ビデオ
- テンプレート
- 3Dアセット
- プレミアムコレクション
ライセンスとしての範囲の拡張は閲覧者数の緩和だけなので通常ライセンスとの差は大きくありません。
拡張ライセンスは素材が商品価値になるような用途で使用可能

拡張ライセンスにすることでアセットが商品価値の主体となる利用も可能になります。
拡張ライセンスの対象となる「アセット自体が主な購入目的となる商品」とは以下のようなものを指します。

- Tシャツ
- ポスター
- マグカップ
- テンプレート
※アセットを主体として利用した場合
上記のようなアセットの写真やイラストなどがメインコンテンツになるような商品を作成する場合は拡張ライセンスが必要になります。
ただし、大きく加工したものや商品の一部に利用されているだけでアセットがなくても価値を損なわないレベルであれば通常ライセンスでも問題ありません。
拡張ライセンスは電子テンプレートに組み込んで使用することもできます(詳しくは後述)
エディトリアルライセンス

前述した3つのライセンスとは別に報道機関向けのエディトリアルライセンスがあります。
エディトリアル写真は報道機関しか使用することができません。
また、エディトリアル写真は以下のような制限があります。
- 商用利用禁止
- 編集加工禁止
- クレジット表記必須
一般用のライセンスとは大きく性質が異なるのでエディトリアルライセンスを利用する場合は注意してください。
本記事では軽くエディトリアルにも触れますが、基本的にはエディトリアル以外のライセンスについて扱います。
商用利用はできる?

Adobe Stockのライセンスは商用利用に対応しています。
基本となる通常ライセンスも商用利用に対応
オプション料金がかかることのない通常ライセンスも商用利用が可能です。
無料でダウンロードすることができる無料素材にも通常ライセンスが付与されているので商用利用が可能です。
以下のように媒体を問わず金銭が発生する商業的なデザインに使用できます。
- 本や雑誌など書籍
- 商品のパッケージ
- 製品本体のデザイン
- 広告やマーケティング
- Webのランディングページ
商品のメインビジュアルとして使う場合やテンプレートに使用する場合は通常ライセンスの枠を外れるので、拡張ライセンスにアップグレードする必要があります。
エディトリアルライセンス(報道用)は対象外
一般ユーザーには関係ありませんが、報道機関向けに提供されているエディトリアルライセンスは商用利用することができません。
販売促進や、推奨、広告といったものに使用したりリサイズやトリミング以外の加工を行うことも禁止されています。
エディトリアル利用は制限が多いので報道メディア関係で使用する際は注意してください。
クレジット表記は必要?
Adobe Stockの素材にはクレジット表記することなく利用が可能です。
基本的には不要ですが、一部の例外があるのでご紹介します。
他のストックコンテンツにクレジット表記をしている場合は必要
他の素材にはクレジット表記を行い、Adobe Stockの画像にだけクレジット表記をつけないということはできません。
例えばShutterstockやPixtaなど別のストックフォトにクレジット表記を行っている場合は、それにならってAdobe Stockの素材にも帰属表記を行いましょう。
他のストックコンテンツの提供者について帰属表示がおこなわれている状況で本Stockアセットが使用される場合、お客様は、Adobe Stockについてもほぼ同様の帰属表示を行う必要があります。
帰属 8条 A
社説で写真を使用する場合はクレジット表記を行う
社説で写真を使用する場合はクレジット表記が必要です。
社説とは社会問題や時事についての社の意見や主張を新聞などのメディアで公開するもののこと
社説は後述するエディトリアルに関連してくるためクレジット表記が必要になります。
エディトリアルライセンス(報道)はすべてクレジット表記が必要
報道機関専用のエディトリアルライセンスはWeb、ブログ、印刷物すべての媒体においてクレジット表記が必要です。
クレジット表記は「エージェンシー名/作成者 – stock.adobe.com」といった形式で明記しましょう。
その他の通常ライセンス、強化ライセンス、拡張ライセンスには当てはまりません。
Adobe Stockのライセンス譲渡は可能?

Adobe Stockはライセンスの譲渡・移転・代理購入が可能になっていますが、利用規約では厳格な対応が必要とされています。
クライアントにライセンスを譲渡または代理購入する
クライアント用にAdobe Stockアカウントを作成しなくても、ライセンスの譲渡や代理購入することができます。
ライセンスを顧客や雇用主に譲渡することができますが、別の顧客が同じアセットを使用する場合は再度ライセンスを取得する必要があります。
従業員や契約業者と共有する
オリジナルの未変更のアセットを従業員や顧客と共有することができます。
下記規約に則り書面での同意をとり、アセットの使用に関する責任をおうことが必要になります。
(1)当該従業員および契約業者が、本条件の制限に従うことを約する強制力を持つ書面に同意すること
その他の権利 6条 B
(2)当該従業員や契約業者が、お客様の代理としてのみ本 Stockアセットを使用すること
(3)お客様が、雇用者または契約業者による本 Stockアセットの使用に対して一切の責任を負うこと
会社やクライアントによる使用
雇用者または一人のクライアントの代理でライセンスを取得・移転することができます。
下記規約に則り、使用する必要があります。
(1) お客様が、当該雇用者またはクライアントを本条件に拘束する完全な法的権限があることを表明および保証すること
その他の権利 6条 A
(2) 当該雇用者またはクライアント(該当する場合)による本 Stockアセットの使用に関して、お客様が一切の責任および賠償責任を負うこと
(3) 本条件と同等以上の厳格な条件を定めた、強制力を有する書面の契約を介して、クライアントまたは雇用者にライセンスを移転すること
(4) お客様またはお客様の雇用者がお客様自身、お客様の雇用者、または他の顧客(該当する場合)のために同じ Stockアセットを使用する場合は、同じ Stockアセットの追加ライセンスを取得する場合
テンプレートやデザインアプリに組み込める?
拡張ライセンスに限り、テンプレートやデザインアプリケーションにAdobe Stockのアセットを利用することができます。
通常ライセンスおよび強化ライセンスではテンプレート使用はできないので注意してください。
テンプレート内での使用に限り利用可能
テンプレートファイルとして使用する場合は商品自体に組み込まれている必要があります。
(1)販売または配布を目的とした商品およびテンプレートファイルに組み込む場合。複製数または閲覧者の数に制限はありません。
ただし、受け取った者が商品またはテンプレートに組み込まれた状態での本作品の使用またはアクセスのみを許可されていることを条件とします。
拡張ライセンス 3.3条 A-1
素材の取り出しができない仕組みが必要
独立したファイルとしてダウンロードしたり抽出できるような方法で使用することはできません。
一般的な制限 お客様による以下の行為は、これを禁止します。
制限 7.1条 A
(A) 第三者が、本Stockアセットを独立したファイルとして使用、ダウンロード、抽出もしくはアクセスできるような方法で、または本Stockアセットのライセンス範囲を逸脱して使用、ダウンロード、抽出もしくはアクセスできるような方法で、本Stockアセットを使用すること
アセットファイルをそのままダウンロードできてしまうようなテンプレートでの使用は禁止されているので注意してください。
Adobe Stockの素材を使って商標登録やロゴ作成はできる?
結論、商標登録やロゴ作成にはAdobe Stockのデータを利用できません。
厳密に言うとロゴは作るだけなら問題はありませんが、排他的に利用することができなくなります。
商標登録はできない
本Stockアセットの全部もしくは一部を使用した商標、デザインマーク、サービスマーク、サウンドマーク、称号を登録し、もしくは登録申請すること、または第三者による本Stockアセットの使用を妨害するために所有権を主張すること。
制限 7.1条 一般的な制限 C
Adobe Stockのライセンスは使用権が与えられているだけで、所有権は保有していません。
独占的に使用可能になる商標登録は所有権がないデザインで登録することができないため、商標登録は不可となります。
ライセンス購入したアセットは排他的に利用できない
Adobe Stockのアセットはすべて利用可能になるだけで、独占的な権利を得ることはできません。
排他的に利用したい場合はストックフォトではなく独自に写真撮影やデータの制作を行う必要があります。
ロゴも商標登録を行いたい場合はIllustratorを使用して独自のものを作成しましょう。

Adobe Stockを使用できない用途やテーマ

本記事で解説してきた基本的な条件を満たしていたとしても、一部の用途やテーマではAdobe Stockを使用できません。
Adobe Stockのアセット素材を不適切と考えられる方法やテーマに使用することは禁止されています。
ポルノおよび法律や規則に違反する方法での使用禁止
Adobe Stockの素材はポルノやアダルトサイトでの使用は禁止されています。
また、当たり前ですが誹謗中傷や法律や規則に違反する方法での使用も禁止されています。
本 Stock アセットをポルノや誹謗中傷で、または適用される法律、規則、規制に違反する方法で使用すること
制限 7.1条 一般的な制限 D
Adobe Stockの素材を正規ライセンスとして購入していたとしても、一緒に使用する別の素材のライセンスの権利侵害を行っている場合は同時にAdobe Stockの規約違反にもなります。
使用している素材すべてのライセンス管理をしっかりとしておく必要があります。
本 Stock アセットを第三者の権利を侵害する素材と共に使用すること、またはその他本 Stock アセットに関連して、個人または団体の知的財産権等の権利を侵害する行為をおこなうこと(例えば、本Stock アセットの作成者の著作者人格権や、Stock アセット内またはそれに関連して登場する個人の権利、または登場する物品の所有者の権利等)
制限 7.1条 一般的な制限 B
物議をかもすと判断されるような方法での利用も禁止
Adobe Stockの素材を使った制作物が物議をかもすようなものになりうる方法での使用は禁止されています。
特に気をつけるべき内容は以下のとおり。
- 主義主張に関する利用(選挙・政党・政治)
- 物議をかもすテーマ(タバコ、風俗、障碍)
その他、炎上リスクが高いテーマや用途には使用しないようにしましょう。
本 Stock アセットの性質を考慮したうえで、合理的な人間であれば、不適切、不道徳、攻撃的、わいせつ、または物議をかもすと判断するような方法で、またはそのようなテーマに関連して、本 Stockアセットを使用することを禁止(例えば、タバコ、風俗店もしくはそれに類する場所やサービスの広告、政党やその他主義主張に基づく運動の黙示もしくは明示の支持、または精神障碍もしくは身体障碍の暗示など)
制限 7.1条 一般的な制限 E
有料プラン解約後のライセンスの扱いについて
解約後も取得したライセンスは利用可能です。
Adobe Stock解約に伴うポイントは以下の3つ
- 解約後も取得したライセンスは有効
- 解約後も購入履歴から再ダウンロード可能
- ライセンス取得のためのポイントは解約で消滅
Adobe Stockを解約してもアセットの購入履歴は残るのため素材の再ダウンロードが可能です。
Adobe StockだけでなくAdobe IDそのものを解約してしまうと購入履歴など全情報が消えてしまうので有料プランのみ解約しておけばOKです。
また、アセットを取得できるポイントは解約すると消えてしまうので解約前にアセット点数は消化しておくと良いですよ。

コメント
コメント一覧 (2件)
東大寺の大仏の写真を使用して、企業の案内看板を作成したところ。
掲載禁止とクレームが来ました。
御社の見解をお聞かせください。
Adobe Stockで購入した写真にたいしての差し止め要求ということでしょうか。
事例によって判決が異なる場合があるようです。
弁護士にご相談頂いたほうが良い案件かと思います。
Adobe Stockの問い合わせから連絡してみるとAdobe側の顧問弁護士から見解を伺えるかもしれません。
ぜひ問い合わせしてみてください。