
Webデザインとグラフィックデザインって、なにが違うん?

同じイベントを告知するとして、ポスターを作るのがグラフィックデザイン、申込ページを作るのがWebデザイン、と考えると違いがわかりやすいですよ
Webデザインもグラフィックデザインも、文字、写真、色、レイアウトを使って情報を伝える仕事です。
ただし、ポスターは一目で内容を伝える必要があるのに対し、Webページはスクロールしたり、ボタンを押したり、申し込んだりしながら使われます。見た目に使う要素は似ていても、完成後の使われ方が違うため、作るときに考えることも変わります。
- Webデザイン:Webサイトやアプリなど、画面上で見て使うものを作る
- グラフィックデザイン:ポスター、広告、ロゴ、パッケージなど、見た瞬間に情報や印象が伝わるものを作る
- DTP:チラシや冊子などを、実際にきれいに印刷できるデータへ仕上げる
ここからは難しい定義ではなく、実際に作る場面を想像しながら違いを見ていきましょう。
Webデザインとグラフィックの違い

たとえば、セミナーを告知するポスターと、同じセミナーの申込ページを作るとします。
| 考えること | イベントポスター | Webの申込ページ |
|---|---|---|
| 最初の見せ方 | 通り過ぎる短い時間でも、日時や内容が伝わる | ページを開いた人が、必要な情報を順番に読める |
| 載せられる情報 | 限られた紙面に重要情報を絞る | 詳しい説明、地図、講師紹介、FAQなどを追加できる |
| 読者の行動 | 見る、読む、記憶する | スクロールする、リンクを開く、フォームから申し込む |
| サイズ | A4、B2など完成サイズが決まっている | スマホやパソコンによって表示幅が変わる |
| 完成後 | 内容を変えるには刷り直しが必要 | 日時変更や満席表示などを公開後も更新できる |
どちらも「わかりやすく見せる」ことは共通しています。しかし、ポスターは限られた一面で伝え切る必要があり、Webページは読者の操作やページを開いたあとの流れまで考えます。
Webデザインは「見る」だけでなく「使う」ものを作る

Webサイトには、ボタン、リンク、メニュー、検索欄、入力フォームなどがあります。読者は画面を見るだけではなく、目的の記事を探したり、商品を選んだり、申し込んだりします。
そのためWebデザインでは、見た目が整っているだけでなく、どこを押せばよいか迷わないことや、目的までスムーズに進めることも大切です。
こうしたボタンやメニューなど、利用者が触れる部分の設計はUIデザインと呼ばれます。

グラフィックデザインは一目で内容や印象を伝える

ポスターやチラシは、読者が必ず立ち止まって細部まで読んでくれるとは限りません。タイトル、写真、色、文字サイズに強弱をつけ、何の案内なのかを短い時間で理解できるようにする必要があります。
グラフィックデザインは印刷物だけではありません。ロゴ、パッケージ、Web広告、SNS画像、動画のタイトル画面なども、文字や写真を組み合わせて情報や印象を伝えるグラフィックデザインです。
Webサイトの中でも、バナーやアイキャッチ画像だけを取り出せば、グラフィックデザインに近い考え方で作られています。
Webデザインは見た目を作ったあとにも考えることが多い
紙面のデザインをそのまま画面へ置けば、Webデザインになるわけではありません。Webには、画面サイズの変化、操作、更新など、紙にはない条件があります。
見る人によって画面サイズが変わる

DTPは印刷する紙のサイズに合わせてレイアウトを行いますが、Webでは決まったサイズがありません。
同じページでも、スマホでは縦長に表示され、パソコンでは横に広く表示されます。文字を大きく設定している人や、ブラウザの幅を狭くしている人もいます。
Webデザインはこのような環境に合わせ、どの端末で見ても読みやすく、操作しやすい形へ変化するように作る必要があります。これがレスポンシブデザインです。
使いやすさや目的の達成まで考える
Webもグラフィックも「伝える」ことを目的としていますが、Webデザインではその先にある行動も重要です。
- 知りたい情報をすぐに見つけられる
- 商品の違いを比較できる
- フォームへ迷わず入力できる
- 購入や予約を途中で諦めずに完了できる
記事を読んでもらうサイトなら読みやすさ、ネットショップなら商品を選びやすいこと、Webサービスなら操作に迷わないことが大切です。何を成果とするかはサイトによって違います。
公開してからも更新・改善が続く
本やポスターは印刷前に内容を完成させますが、Webサイトは公開後にも内容が変わります。
イベントの日程を変更したり、売り切れの商品を非表示にしたり、新しい記事を追加したりするため、あとから情報が増えても崩れにくいデザインにしておく必要があります。
さらに、どのページが読まれたか、どこがクリックされたかを確認し、見出しや導線を改善することもできます。Webデザインは、公開した時点で完全に終わるとは限りません。
実際にブラウザで表示できるかも考える
Webページは、デザインデータをそのまま公開するわけではありません。HTMLやCSSなどを使い、ブラウザで表示・操作できる形にします。
すべてのWebデザイナーが高度なコーディングまで担当するわけではありませんが、文字量が増えたときや画面幅が変わったときにどう表示されるかなど、Webで実現できる形を意識してデザインする知識は役立ちます。
企画から公開までの役割や流れは、Web制作の流れで詳しく解説しています。

グラフィックデザインは限られた範囲で伝え切る
ポスター、ロゴ、パッケージ、表紙などは、使える面積や形がある程度決まっています。その中で情報の優先順位をつけ、不要なものを削り、伝えたい印象を作ります。
文字や写真の位置を細かく決められる
印刷物では、A4や名刺などの完成サイズが決まっています。文字の改行位置、写真の大きさ、余白を細かく調整し、狙った構図で仕上げられます。
Webのように見る人の画面幅で自動的に改行されないため、文字組みや紙面全体のバランスを最後まで詰めやすいのが特徴です。
商品の印象や世界観を強く見せやすい
ロゴやパッケージ、広告では、情報を読みやすくするだけでなく、「高級そう」「楽しそう」「信頼できそう」といった印象も大きな役割を持ちます。
色、写真、書体、余白、形を組み合わせ、商品やブランドらしさを一つのビジュアルとして見せることは、グラフィックデザインが得意とする部分です。
DTPはグラフィックデザインと何が違う?
DTPは「Desktop Publishing」の略で、パソコン上で文字や画像をレイアウトし、印刷物のデータを作ることです。
グラフィックデザインが「どのように見せるか」を考える仕事だとすれば、DTPはそのデザインを実際に問題なく印刷できる形へ仕上げる仕事と考えるとわかりやすいでしょう。
- グラフィックデザイン:タイトルをどこへ置くか、どの写真や色を使うか、どんな印象にするかを考える
- DTP:仕上がりサイズ、塗り足し、色、画像解像度、フォントなどを確認して入稿データを作る
実際の現場では、同じデザイナーがデザインからDTPまでまとめて担当することも多いため、二つの境界ははっきり分かれているとは限りません。「DTPデザイン」という言葉が広く使われるのもそのためです。
印刷物は刷る前のチェックが重要
Webページは公開後に修正できますが、印刷物は刷ったあとに文字や色を変更できません。間違いがあれば修正して再印刷することになり大きなコストがかかります。
- 文字や写真が仕上がり位置から切れていないか
- 裁断のずれに備えた塗り足しがあるか
- 写真をきれいに印刷できる解像度があるか
- 印刷用の色やフォントに問題がないか
- 印刷所の指定に合うPDFになっているか
このように、印刷物ではデザインの見た目だけでなく、紙や印刷機の条件まで考える必要があります。

Webと印刷物では画像や色の扱いも変わる
Web画像はきれいさと軽さの両方が大切
Webページへ大きく重い画像をたくさん載せると、表示に時間がかかります。反対に圧縮しすぎると、写真がぼやけたり文字が読みにくくなったりします。
Web制作では、必要な表示サイズを保ちながら、できるだけ軽い画像にすることが大切です。写真にはJPGやWebP、透過画像にはPNG、ロゴやアイコンにはSVGなど、用途に応じて形式を使い分けます。
画像形式の違いは、JPG・PNG・WebP・SVGの使い分けを解説した記事で詳しく確認できます。

印刷物は仕上がりサイズと色を確認する
印刷物では、画面で大きく見える写真でも、実際の仕上がりサイズに対して画像が小さければ粗く印刷されます。
「Webは72ppi、印刷は300ppi」と数字だけで分けるのではなく、印刷では何cmの大きさで使うのか、その大きさで十分な実効解像度があるかを確認することが重要です。
解像度と画像サイズの関係は、解像度・PPI・DPIの違いで図解しています。
また、ディスプレイの色表現と印刷物のインクによる色表現は全くの別物です。
- Webなどの画面表示:主にRGB
- 一般的なカラー印刷:主にCMYK
画面で鮮やかに見える色をそのまま印刷しても、同じ見え方になるとは限りません。紙質やインクによっても印象が変わるため、印刷物では色の確認が重要です。

写真とロゴでは向いているデータ形式が違う

写真は小さなピクセルの集まりであるラスター画像、ロゴや図形は点と線で描くベクターデータが向いています。
しかし、印刷物だからすべてをベクターにするわけではありません。写真はラスター画像のまま使い、ロゴや線画は拡大しても荒れにくいベクターで作るなど、内容に合わせて使い分けます。
ラスターとベクターの違いについては以下の記事で詳しく解説しています。

使うソフトは「Webか紙か」より作業内容で選ぶ
Webデザインはこのソフト、グラフィックデザインはこのソフト、と完全に分かれているわけではありません。同じソフトを両方で使うこともあります。
| ソフト | 向いている作業 |
|---|---|
| Figmaなど | Webサイトやアプリの画面、ボタン、ページ遷移の設計 |
| Illustrator | ロゴ、アイコン、図版、ポスター、チラシなど |
| Photoshop | 写真補正、合成、Web画像、広告ビジュアルなど |
| InDesign | 書籍、雑誌、カタログなど、ページ数の多い印刷物 |
| Acrobat | 印刷用PDFの確認や修正 |
たとえば、Webサイトの画面全体はFigmaで作り、掲載する写真はPhotoshopで補正し、ロゴはIllustratorで作るという使い分けができます。
チラシでも、レイアウトはIllustrator、写真の加工はPhotoshopという組み合わせが一般的です。本や雑誌のようにページ数が多い制作物では、文字やページを管理しやすいInDesignが向いています。


Webとグラフィック、どちらを学ぶべき?
どちらが上ということではなく、まずは自分が何を作りたいかで選ぶとわかりやすいです。
- Webサイト、LP、アプリを作りたい:Webデザイン
- ロゴ、広告、ポスター、パッケージを作りたい:グラフィックデザイン
- 本、雑誌、カタログ、印刷用データを作りたい:グラフィックデザインに加えてDTP
- Web広告やアイキャッチを作りたい:グラフィックデザインを中心に、Webでの表示方法も学ぶ
Webデザインを選んでも、バナーやロゴを作るときにはグラフィックデザインの知識が必要です。グラフィックデザインを選んでも、作品をWebで見せるなら画像形式や画面表示の知識が役立ちます。
違うのは使われ方だけで、デザインの基本は共通する
Webとグラフィックでは、完成物の使われ方や制作条件が違います。
- Webは画面サイズが変わり、クリックや入力などの操作がある
- グラフィックは限られた範囲で、情報や印象を一目で伝える
- DTPは印刷物を、実際にきれいに刷れるデータへ仕上げる
一方で、写真、色、文字、レイアウトなどデザインの基本は、Webでもグラフィックでも必要です。
何を伝えるのか、どこを最初に見せるのか、誰に向けて作るのかを考える部分は共通しています。まずは作りたいものに近い分野から始め、必要に応じてもう一方の知識を広げていくと理解しやすいでしょう。


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